第9話 おはようピンチ
あれ ─────。
知らないベッドで目が覚めた。
夕べはとんでもなくおかしな夢を見た。
俺がおもちゃみたいに縮んだ夢。
大嫌いな柚木がやたらと優しかった夢。
犬猿のあいつの夢を見るあたりがもう普通じゃないんだけどさ。
とんでもなく疲れたのと、やたら居心地がよくて楽しかったおかしな夢。
ところでここはどこだっけ?
俺のアパートの部屋じゃない。
天井が板張りだ、実家?日本家屋?
そろそろと起きると、どこまで行っても布団だ。
何だこの巨大な布団は。
夢の続き ──── ?
嫌な予感がして布団の端までそろそろ這った。
どんつきは崖?違う、これはベッドだ。
そぉっと下を覗くと畳の上で眠る柚木がいた。
柚木の奴、大きい・・・・・・。
そっか、俺が縮んだのは夢じゃなかったんだと打ちのめされたが。
きっと寝落ちした俺にベッドを譲って慣れない床で寝たのだろう。
こいつの優しい性分にまた触れた気がした。
ベッドはあいつの制服のポケットの中と同じ、あたたかい匂いが染みこんでいて無性に落ち着く。
悪夢のような異常事態なのに俺はなんとか正気を保てていた。
「・・・おい、柚木、柚木ってばっ」
ベッドの端から声をかける。
「─── ぁぁ・・・城崎 起きたのか」
「うん。ベッド悪かったな」
ベッドの端っこから身を乗り出すと柚木が半身を起こして近づいてくる。
ベッドに両肘をついて寝起きのふにゃけた顔がどアップで迫る。
学校じゃ絶対に見せない顔だ。
あぁやっぱりこいつ肌がきれいだな。
触ってみたい・・・って!!!
待てよ俺、何いってんだよっっっ
「・・・・・・ぉはよ、おまえこそ寝れたか?」
うわぁ息がかかる・・・倒れそう・・・🌀
その時、部屋の突然ドアを叩くノックの音。
「伊織ぼっちゃま、おはようございます。朝でございますよ」
年配らしい女の人の声がした。
えっ!?えーーーー!ちょい待ち!
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