第7話 メシ食って風呂
ベッドの上で
「・・・柚木、えーっと、ここは」
「俺の家。ここは俺の部屋だから何も心配ないよ」
「そうか、、」
「お前の部屋から荷物を持ってきた。足りないものがあったら取りに行くから」
「うん。ぁ・・・あの、柚木ありがとう」
「・・!・・・・・・」
何だよ、こんな素直なの、おかしいよお前。
こっちまで調子狂うじゃないか。
正座したまま頭をコリコリ掻いているあいつに可愛いなんて感情が持ち上がってくる。
俺、何だか感化されてる?
「っ・・・城崎、腹減ってるんじゃないか?
「腹、、うん、減ったな」
小さくなった城崎だったが、相当空腹だったんだろう。
俺の皿からもぐもぐ食べはじめた。
とりあえず今日のところはご飯は手づかみ。
野菜や肉は端からもぐもぐ齧る。
すまんな。
食事を済ませると次は俺が持ってきた自分の荷物とスマホを確認し始めた。
でも何もかもが今のこいつにはかなり大きい。
確認も一苦労だろう。
城崎はざっと見回して、やがて小さく溜息。
どうしたって学校は休まなくてはならない。
こいつの家族が日本を離れていたのは不幸中の幸いだったのかもしれない。
もし俺がこいつだったら
──── と考えるだけで想像すらつかない、怖い。
それなのにこいつは何とか自分で道を探そうとしている、落ち着いているように見える。
「とりあえず夏休みまで休むってことで学校に連絡するしかなさそうだな。両親のいるアメリカに用事ができたとかで」
「そうだな、学校の連絡は明日でいいな」
「俺が電話をかけるよ。悪いけど電話だけかけてくれ。
あとさぁ柚木。明日から授業の内容、俺に教えてくれ。迷惑かけるけど」
「そうだな。俺も復習になるから構わない」
「あ ── あの・・・ありがとう・・・」
ありがとう。
今日は何回こいつの口からこの言葉を聞いただろう。
こんな城崎に会う日が来るなんて思ってもみなかった。
慣れない俺の方が動揺してしまうが、
でもテキパキとすべきことを考えて判断し、行動にうつす。
ただのチャラい男ではない。
・・・・とこいつを見直していた。
「いや、、、いいんだ。あ、そうだ城崎、風呂に入りたいだろう」
「入りたいなぁ。汗でベトベトだ。でもどうしたら」
「俺も今からだし・・・まぁ男同士だから修学旅行みたいなもんだろ。いくか?」
「そうだな、よし!すっきりするか」
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