第2話 君との出会い②

 ー玉響学園第一体育館前ー


 「1008番、1008番……、あった」


 僕は周りのことなど関係ないかのように、一緒に見にきた母親とハイタッチをした。


 最初は母親と来るのは恥ずかしかったけど、合格の喜びからか、いてくれて良かったとまで感じた。


 そんな僕が受けた入学試験は思った以上に殺伐とした空気が流れていた。


 ー試験会場ー


 一学年の生徒が集まることのできる広さを持った大講堂で定員240名の枠をかけた試験が行われた。


 僕を馬鹿にしていたあの空気はすでに薄れ、各教科ごとに設けられた自習時間はペラペラと参考書を捲る音だけが響いていた。


 いざ始まった試験の空気は、私立とは思えない程の難しさと相まって、試験前とは打って変わって重くのしかかってくる。


 そんな時は、彼女の言っていた言葉を思い出し、自分を鼓舞こぶした。


 それが計5回続き、やっと試験が終わるチャイムがなった。


 僕の体から、どっと疲れが溢れてきて、心ここに在らずのように放心状態になった。


 そして今に至る。


 無事、合格できたことは嬉しいが彼女の言っていた、


〈君は絶対合格できるよ〉


に疑問を感じたままなのが落ち着かなかった。


 僕は彼女がどうしてわかったのか、その言葉の意味を知りたくなった。


〈次、会えた時に聞いてみよう〉


 僕は心の中でそう思った。



 

 

 


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