巨大樹木の出現

方向転換ターンテーブル。

 僕はこのまま、幼馴染のモルスと共に大きくなって学校に通って友達を作って、大人になっていく。



 そう、思っていたのに。


×


 満天の星が綺麗な、月の無い夜の事だった。


 その日、僕はあの時のように山にこっそりと登っていた。星を観察するためだ。

 僕はまだ初等部にも行けないような小さい子供だったから、本当は外に出ちゃいけなかっただろう。だから、縄などを使ってこっそりと家から出て山へ向かった。



 僕は、前世と同様に、星に興味を持っていた。そして星を観測して、最終的には、かの天文学者達のように『天動説がおかしい』って事を証明しようと思っていた。


 いくらそういう常識があるからって、重力があるし星は空に散っているし、太陽と月はそれぞれの速度で空を渡り、月は満ち欠けをする。

 転生前の世界と天体や物理の状態がほぼ同じなのだから、『地動説』が正しいはずだと思って証明をしたかった。


 月の無い夜のはずなのに、山は薄らと明るい。周囲を見ると、地面や植物が薄く光っていた。


 やっぱりファンタジーな世界だから、植物も光るんだろうなぁ。


 そう思って歩いているうちに、開けた場所に出た。

 雲一つない真っ黒な空に、きらきら瞬く星達。その煌めきに、モルスの綺麗な白銀色の髪を思い出す。


 あの子も連れて行けばよかったかなぁ。


 地面が綺麗な事を確認してから、ころりと薄く光る地面に横たわった。

 植物も薄らと光って幻想的な景色だ。


 ふと視線を上げると、空に強い輝きが見えた。


 流れ星、だろうか。薄く明るい煌めきが尾のように引き、その輝きは段々と大きくなって、迫ってくる。


 ……違う、あれは流れ星じゃない。


 あの輝きは、地表に向かってしてる。


 大抵の隕石は、重力と星の回転に沿ってに落ちるはずなのに。


 そう思った時には輝きは地表に触れる直前で。

 直後、凄まじい音と揺れ、風圧で幼い僕の身体は宙に浮き、視界は強い輝きに呑まれた。

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