第79話 特務人事異動と特務発令

 こんこん。「早く入れっ」「じゃ、遠慮えんりょなく」とびらを開け入室。

 入ったぐ左側に3人掛けぐらいのソファーその前にテーブル、さらにその向こうに一人掛けのソファーが2脚。


 そこから60cm程度ていど間隔かんかくけ、幅2mはあるデスクが置けれ、向こう側に署長しょちょうらしき人物が、立派な椅子に掛けている。


 向かって右側に、デスクに手を突き署長しょちょうらしき人物と、何やら話をしていたであろう様子ようすうかがえる警官が一人。


 14年が経過けいかし、多少けたが、間違いなく副署長しょちょうΔデルタでしょうよ。

 現在44のはずだね、階級章は巡査部長から14年間で警視けいし、ノンキャリアとしては大出世でしょうよ。


 入った順番に向かってデスクの左側に詰めて立ち、俺、りくちゃん、まもちゃんと並ぶ。


 「広域捜査本部の関係者と言う事だが、着任の挨拶あいさつならいいから、4階の帳場ちょうばに直接上がってくれて良いんだが、何故なぜ自衛官がいる、君が何者かも含めて聞かせてもらおう」

 流石さすが署長しょちょう警視正けいしせいの階級章は伊達だてではないでしょうよ。


 「俺はですね、ちち須利亜すりあ警部補けいぶほです」

 再び警察手帳を出す。


 「分かった。帳場ちょうばは4階だ、さっさと行ってくれ。でお嬢さん方は警察に何の用だね」

 りくちゃんとまもちゃんは、両手を後ろに回し足を少し開き“休め”の体勢。

 微動びどうだにしない、日頃の二人からは想像できないでしょうよ。

 「結論を急ぐのは良くありませんよ署長しょちょう


 「失礼だぞちち警部補けいぶほ」そうかい。

 警官として、その心情しんじょう信念しんねんまっとうできなかったあなたには言われる筋合すじあいはないが、まだとなえる訳には行かないでしょうよ。


 「副署長しょちょうさんですかね」「Δデルタだ」

 「人事異動兼命令書があるでしょうよ」「今時いまどき、紙で持って来てと言うのか」

 「そうですよ。Δデルタ署長しょちょう

 かばんからおてまみを出す時が来たでしょうよ。


 「見たら返して下さいね」署長しょちょう、おてまみです。と差し出す。


 「んーーー、何だと言うんだ」がさがさがさ。


 『     特務人事異動

                        20○○年××月△△日付


   警察庁長官 誰誰 誰太郎


    国家公安委員会から警察庁へ、警察庁長官に対し、テロ相当で広域捜査本部設置要請がなされた

    ただちにこれを行い、当該県警、K警察署に対し広域捜査本部を設置


    この特務に対し、ちち須利亜すりあ警部補けいぶほにK警察署への出向を命ずる


    特務はテロ相当である

    ちち須利亜すりあ警部補けいぶほの地位を警察庁長官代理とし、指揮の全権をゆだねる


    特務完遂の障害となる全てに対し、銃火器の使用を許可する

    他の者の使用は、警察庁長官代理がその都度つど判断する


    この地位は、特務完了までとする

    特務完了の判断は、警察庁長官代理が行う


    直通 0x0ーYYYYーZZZZ


 』


 「と・・・特務人事異動、警察庁長官に人事は」「俺は代理です」

 「Δデルタ君、警察庁長官代理だそうだ」「はっ」がさっ。やぶるなよ。


 これにはΔデルタおどろいてるでしょうよ。

 「銃火器の使用まで認める。馬鹿ばかなっ」

 Δデルタ巡査部長、仕事が終わったのに拳銃けんじゅうを持ち出した人から言われたくないでしょうよ。


 「私達がここにいる理由を、お知りになりたいと言う事でしたね」

 「僕達が持参した書類にも、目を通していただきたい」

 そう言えば、かばん持ってないね。

 スカートのポケットから、くしゃくしゃでしょうよ。


  「・・・」がさがさがさ。「なっ」


 『     特務発令

                        20○○年××月△△日付


    統合幕僚長とうごうばくりょうちょう 私葉 誰出翔


    国家公安委員会から警察庁へ、警察庁長官に対し、テロ相当で広域捜査本部設置要請あり、当該県警、K警察署に広域捜査本部が設置された。


    本件テロ相当であり、国家安全保障上の重大事案である

    以降特務と記す。


    特務を命ずる 3等陸曹 防人さきもりまも


    所属を統合幕僚長とうごうばくりょうちょうと等価の地位にある警察庁長官、その代理者の指揮下にくものとする


    特務遂行せしむるをさまたげる障害に対し、銃火器の使用を許可する


    特務完了は、警察庁長官代理が行う


    直通 0A0ーBBBBーCCCC


 』


 「と、とうごう、ばくりょうちょう」がさがさがさ。


 『     特務発令

                        20○○年××月△△日付


    統合幕僚長とうごうばくりょうちょう 私葉 誰出翔


    国家公安委員会から警察庁へ、警察庁長官に対し、テロ相当で広域捜査本部設置要請あり、当該県警、K警察署に広域捜査本部が設置された。


    本件テロ相当であり、国家安全保障上の重大事案である

    以降特務と記す


    特務を命ずる 3等陸曹 北海道ほっかいみち乃睦のりく


    所属を統合幕僚長とうごうばくりょうちょうと等価の地位にある警察庁長官、その代理者の指揮下にくものとする


    特務遂行せしむるをさまたげる障害に対し、銃火器の使用を許可する


    特務完了は、警察庁長官代理が行う


    直通 0A0ーBBBBーCCCC


 』


 「統合幕僚長とうごうばくりょうちょうじかの命令書」がさ。がさ。

 署長しょちょうは頭を抱え、Δデルタは俺達と書類を何度も見比べている。

 アニメみたいでしょうよ。こんな反応するんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る