第71話 友は国境を越えて

 「フランソワーズ、ジム、この子達が自由に生きて行ける世界に近付きたいでしょうよ」

 「パパッ、5年よ。私それ以上は待たない」「フランソワーズ、ありがと」

 「はじめちゃんからパパの精子をもらって、赤ちゃんつくる。パパは責任取るの。ジム、パパの子供のママは私だけだから」

 「フランソワーズッ、良いのかいっ」

 「ジム、覚悟しなさいよ。のんびり屋さんで、きっと突飛子とっぴょうしも無い事をしでかすに違いないわ。はらはらどきどき、心臓いくつあっても足りないんだから」


 「いや、フランソワーズ、ジムそれは」

 「私に夢をあきらめろと言うのパパッ」「ダディ、僕達の未来もかなえてくれてもいいだろう」

 「わかったっ。桜花おうか桜花おうかの未来の為に、いーーーちっばん、生きの良いのを選んであげる」

 「Wow、いいね」「桜花おうか、お願いするわ」「まぁ~かせて」


 「ちょっ、桜花おうかっ」

 「僕達を引き返せない様にしたんだ。ダディも戻れないよ」

 「じゃ。衛星回線は私が明乃あけのちゃんと交渉して、二人の分も手配するね」

 「Oh、それは助かる」「おっちゃんが言うと、又倒れるから」「かもしれないわ」

 俺を間に挟んだまま、話しが進んでいく。


 「フランソワーズ、ジム、これをダウンロードして」

 「WIFIがつながってる。何度アタックしてもつながらなかったのに」「本当ぉ~だよ」

 「良い人だと思ってたけど、桜花おうかの存在を知らせるわけには行かないから拒否してたの」


 「あら可愛い」「デフォルメしたのかい桜花おうか

 「うん、私専用の端末と違って、スマホじゃ処理能力が足りないの。でもミニ桜花おうかを通して通信すればフラクタル暗号でエンコード/デコードをするから、簡単にはけないよ」

 「これはいいよ、thanksサンクス桜花おうか

 ジムのスマホをいて見ると、アイコン2つ分の大きさの2頭身桜花おうかが、動き回って愛嬌あいきょうを振りまいている。

 電池持つか。



 きゃっきゃ、きゃっきゃ、わいわいがやがや。がらんがらぁ~ん。

 「たっだいまぁーーー」「帰ったぁ~」

 「防人さきもり3等陸曹りくそうっ、帰還しましたっ。アイスの領収書ありますっ」


 おっ、意外と早く帰って来たでしょうよ。「ダディ、どいてくれ」どたどたどた。

 「パパ、通して」「おっ、お~」すたすたすた。


 がしっ。「Oh~~~、ミス・テリー、かぴたん。楽しかったかい」

 なはははは、又ジムにホールドされてるでしょうよ。

 「ジャングルジム、苦しい」「ジャングルジムさん苦しいよ」「ジム緩めなさいよ」

 「Oh!」ひしっ。「ミス・テリー、かぴたん」


 「フランソワーズまで抱き付いて、どうしたんです」

 「りくちゃん、私達しばらく来れないから」

 「どこか行くの」「マイハニーまも、少しの間、本国での仕事があってね」


 「まもちゃん、そうなると又男の子達に襲われますね」「海自のかい」

 「男の子は、まもちゃん担当ね」

 「ふっふう~~~ん、私とりくちゃんは出張だもん」


 らぬがほとけαアルファ生餌いきえに指名されたでしょうよ。

 怒るだろうなぁ~、話す時が怖いでしょうよ。

 娘子隊じょうしたいが戦力ダウンだけど、そこは明乃あけのちゃんとこがカバーしてくれるでしょうよ。


 「ミス・テリー、かぴたん。さくたんが泣いて帰って来たでしょうよ。早めにあやまった方が良くないかい」

 「「えええぇぇぇ~~~」」「ミス・テリー」「かぴたん」「「あやまって来るっ」」

 「ジャングルジム放して」「りんごさんも」「うん、行って来て。ジムっ放しなさい」

 「Ohhhhh」「早く、ジムっ」「わかっているよ、フランソワーズ」

 「「行って来るっ」」だだだだだ。がらんがらぁ~ん。「「「「待ってっ」」」」だだだ。

 「りくちゃんっ、まもちゃんっ、10日後現地だから」

 「「了解っ」」だだ。がらんがらぁ~ん。


 「にぎやかね」「あ~、僕も早くこんな家族が欲しいよ」

 「パパ、食器洗い機、終わってるみたいよ」

 どたどた。「じゃぁ~、次も手伝って欲しいでしょうよ。ジムも手伝ってくれ」

 「分かってるよダディ」

 ソファーから立ち左へ、フランソワーズとジムの前を通ってキッチンに向かう。

 「パパ、私やっぱり今すぐに赤ちゃん欲しい」「あ~そう、考えとくよ」

 だだだだだ。ばちっ、ばちっ、ばちっ。「フランソワーズ、ぐぅでたたくのめてっ」

 「ジムッ、パパ押さえてっ、直接採取するっ」「ここでかいっ」「ダメでしょうよっ」

 ばたばた。どたどた。



 二人が帰った後、車から寝袋を下ろし、直ぐに店の戸締とじまりをして、書類作成の続きをした。

 さくたんとりくちゃんが、3階のキッチンで作った皆の夕食をお裾分すそわけで、メインコントロールルームの奥、桜花おうかが置かれているフロア、その北側にある階段を下って持って来てくれた。


 翌朝、店の開店準備の最中さなか、近所の奥様方が、夜遅くまで嬉嬉ききとして笑いころげている子供の声が、めずらしく晴れ渡る夜空に輝く星灯ほしあかりを、激しくらしまたたかせほど、静寂せいじゃくの到着をそれはそれは遅らせたのだとか。

 すみません。会釈えしゃくはしておいた。



 桜花おうかの説得で明乃あけのちゃんは、さして抵抗する事無く衛星回線スターリングのアンテナを、マンション桜花おうか4階のバルコニーに設置を決め、フランソワーズやジムが住む家にも設置契約をし、更に俺達の出張先のトレーラーハウスホテルにも設置を決めた。

 どうしてこんなにも反応が違うでしょうよ。


 7日後、フランソワーズとジムはそれぞれの本国へ帰国。


 その3日後、俺、まもちゃん、りくちゃんは、宿泊先兼αアルファ監視かんし場所、トレーラーハウスホテルが置かれるαアルファの所在地へ向かった。

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