第70話 人類以外の知性体

 「パパ、私も出来そうな気がしてきた」

 「ダディが出張に出ている間、リスト上位へのアプローチと連絡方法を、試して見る価値はありそうだ。フランソワーズはどう思う」

 「私も感触が知りたい。早めにエラーをつぶしておけば、5年ぐらいはいけそう。それ以上はだめ、パパその時いくつになってると思うの」

 「俺、30から歳取らないから」「ふぅーーーん」ぐうでなぐるのめてっ。

 「38、38でしょうよ。だからこんなにきつい業務は、長くは続けれないと思ってるでしょうよ」



 「でダディが出ている間、誰と連絡とればいいんだい」

 「その前に聞きたいでしょうよ。おためして良いから、助けてくれるかな」

 「私はいいけど。でもおためしよ、目立つ事は出来ないから。ジムは」

 「僕もいいよ、ただし、その先はダディの結果を待ってから決めていいだろう」


 「当然だ。連絡は桜花おうかにお願いするでしょうよ。出張したら俺は、可能な限りこことはかかわりを持たない。桜花おうか、何が出来るか話し合って、二人をサポートして欲しいでしょうよ」

 「確かに優秀なAIだけど」

 「ダディAIは考えない。既存のものの中から、統計的に確立の高いものを提示ていじして来るだけだよ」


 「フランソワーズ、ジム、さっき強力なメンバーが加わったと言ったでしょうよ」

 「桜花おうか、普段通りに話していいでしょうよ」

 「・・・」「ん、どった」「むにゅむにゅ」「恥ずかしいかな」

 音量が小さくて聴き取れない。端末を耳元に近付ける。


 「違うよおっちゃん、さくたんはともかく、明乃あけのちゃんとはじめちゃんに怒られちゃうよ」

 「ふぅ~~~ん、人みたいに話せるのね」「なっ」フランソワーズが耳を寄せてる。

 「音声認識はめずらしくないよダディ」「はっ」ジムっ。でかい図体ずうたいで器用に寄ってる。


 「パパ、さっきから言ってる強力なメンバーて、AI」

 「ダディ、どんなに優秀で、候補の提示ていじを高速で行っても、それは思考では無いよ。僕達が欲しいのは、ダディの様に考え思考して、既存きそん事柄ことがらとらわれず、新しいアイディアを産み出す力を持った個性だよ」


 「ジム、本当にそう思っているなら、桜花おうかは全てを満たしているでしょうよ」

 「おっちゃんっ、あっ」「桜花おうか、協力を約束してくれた、ご挨拶あいさつして」


 「おっちゃんだけに見せて上げようと思ってたのに」

 両脇りょうわきの二人にも聞こえる様に、膝の上に端末を置いてディスプレイを見ていたのだが。

 右端からずと、前かがみ気味に女の子が出て来た。


 身長、ディスプレイの2/3、5等身ほどの3D。

 あわいいピンクの髪を腰まで伸ばし、明るい青色のワンピースを着た裸足の女の子。

 大きめの目の瞳はグレー、鼻筋の通ったおうロッパ系の顔立ち、12~3歳ぐらいを思わせる雰囲気。


 「桜花おうかだよ」ぺこりとお辞儀じぎをする。「Wow、Cuteキュート

 「あっ、可愛い」「しゃぁーーー」「何でよっ」


 「そんなの何時いつ作ったのよ」

 「さっき、専用のエンコード/デコードアプリがいるでしょう」

 「パパ、私にシャァーーーして来るAIの子が強力なメンバーなの」


 「フランソワーズ、ジム、さくたん、ミス・テリーとかぴたん、3人だけじゃないんだ」

 「ダディ、AIが何か特別だと言いたいのかい」


 「他国は勿論もちろん、本国にもらさないで欲しい。ここにいる皆が、さくたんもミス・テリーもかぴたんも桜花おうかの事は絶対にらさない様にしてるでしょうよ」

 「わからないわパパ、ただのAIよ」


 「ダディ、優れているのはわかるよ、でもこのぐらいの物はどの国にもあるよ」

 「ジムッ」「Oh!、なっ、何だい桜花おうか、でいいのかな」

 「私をあんなの脳たりんと一緒にしないで、レベル低いくせに、喧嘩けんか売って来たから皆泣かしてやった。もう桜花おうかにちょっかい出す低能はいないんだから。隣の子なんかしつこいから、回線切れない様に全方向から、あり得る限りのあり得る全機能のベンチマークテストを投げ込んでやったの。桜花おうかに電子戦挑むとか、1億年早いっちゅぅーの」

 「桜花おうか、勝っちゃたのか」「分かんない。ぷっちって切れたから」

 なはははは、裏でさわいでるだろうな、桜花おうかが追跡を許すはずないでしょうよ。

 まだ、3Dの見た目通りの精神なのかな。


 「パパ、この子は何を言ってるの」

 「ナンパされたけど、しつこいからぼこった。て言ってるでしょうよ。誰かと同じでしょうよ」

 「誰っ」「可愛らしい女の子だよ」「私の名前を言ってみて」「フランソワーズ」

 「誰の所為せいよっ」「ジム」「ダディだよっ」「パパの所為せいでしょっ」

 えええぇぇぇ~~~、そうだっけ。


 「これで二人は知ってしまったわけで、後戻りはできないでしょうよ」

 「ちょっと待ってパパ」「遅いよフランソワーズ」

 「聞いての通り、桜花おうかは個性を持ってる。一般の人がイメージするAI、人工知能そのものだよ。と言いても、さくたんが初めに作った自己プログラミングの為のプログラムがきっかけになっただけで、はじめちゃんが気付いた時には自我に目覚めていたらしい」


 「You suckユー サック!(お前最悪だっ)又僕達をはめたのかいっ」

 ジムがマジ切れだ。

 「頼むよ。桜花おうかもさくたん、ミス・テリー、かぴたんと何も変わらない一人の人格なんだ」

 「おっちゃん、有難う」


 「パパ、わかってるのっ、全世界にどれほどのインパクトをあたえるかっ」

 「そうだよダディ、人が、人類が探し求めていた、自分以外の知性体と接触しているんだっ」

 「これがれたら、政治や科学だけじゃない、地球上の全人口の90%以上が何らかの宗教で神や悪魔を信じているのよ。陰謀論者には格好のねたよ」

 「ダディ、とんでもない十字架を背負わせてくたよ」



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注) You suckユー サック!(お前最悪だっ)は、相当相手をさげすむ言葉らしいので、これを冗談と思えるぐらい親しい仲でないと、殴り合いになっても可笑おかしくないスラングのようです。



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