第69話 リストアップ

 「ねぇパパ、これを引き受けると言う事は、私達のささやかな夢をあきらめるのと同じよ。私はこの場でパパが、うんと言ってくれればかなうのよっ」

 「それにダディ、解決見込みのある事件を探し出し、賛同する人や政治家や団体を探したり作ったりして、ロビー活動を実現するには人選だけでも5年と言うタイムスケールじゃむずかしいし。声を上げるだけじゃなく、着実に進める為のプランを立てないと頓挫とんざするよ」


 「パパ、昔のより大きいの、おこめ国だけじゃない全世界スケールよ。今から人選や計画をっていたら何時いつになるか。ジムと私だけじゃ。既に人選やプランが上がっていて、ネット越しでも良いからパパだけでも助けてくれないと」

 「ダディ、引き受ければ僕達は、二重スパイと見られる危険がある」

 「ジム、フランソワーズ、国境を越えて3人、いや、世界には並外れた能力で、困っている子がもっといるはずだ」


 「パパは助けてくれるのくれないの」「フランソワーズ、コーヒーを飲みながら応援を」

 パァーーーンチッ。「痛いよっ、フランソワーズ」

 わしっ。「ジム、苦しい、苦し~~~ぃ」胸倉うなぐらつかまれた。


 「でもパパだけじゃ、正直スケールの大きさに見合みあってないわ」

 「げほげほ」あ~~~解放された。

 「フランソワーズの言う通りだよダディ。マイハニー明乃あけの達には話したのかい」


 「いや、今の案件が無事に解決出来たら、少し余裕が出来る。その時に皆に話そうと思う。二人には先行して本国で、ロビー活動に適した人や団体にアプローチしてもらおうと思ってたでしょうよ」


 「解決できなかったら、パパ」

 「素の依頼案件が解決しなかったとしても、そこに隠されていたαアルファによるγガンマ殺害事件は、解決する可能性がかなり高いとはじめちゃんも言ってる。量子事件2件の内1件は解決できる見込みでしょうよ」


 「それについては僕も、フランソワーズも本国に報告しているよ」

 「ええ、これまでと違って、かなり注目されてる」

 「でしょうよ。今動かないと」

 「パパ、私達はわかる、でもジムがさっき言ったでしょう。ロビー活動をまかせられる人を選ぶだけでも時間がかかるし、私もジムもそんな動きをしていたら二重スパイの容疑がかかってTHE ENDよ。ささやかな夢どころじゃ無くなる」

 「ダディ、せめて人選を済ませて、連絡を非接触でつ、秘匿ひとくできる手段が無いと、協力したくても国境の壁は越えられない」


 「人選と秘匿ひとく性の高い連絡手段があれば、俺が出張している間だけでもいいから動いてみてくれるか」

 「そんな事が出来るなら。私やジムの携帯は傍受ぼうじゅされてる可能性が高いの。それがわかった上で秘匿ひとくしないといけないのよ」


 「あ~~~、桜花おうか」「はい、私ばかり働かそうとしているマスター」

 「Wowダディ、AIにも言われてるのかい」

 「きっと明乃あけのちゃんから学習したのよ」


 「おほん、そんな事無いよ桜花おうか

 「ご用向きはどの様な事でしょう。マスター」


 「桜花おうかは二人をどう思う」

 「FrancoiseフランソワーズMapleメイプルAppletonアップルトン女性、エゲレス連邦の秘密情報部に新設さたMilitaryミリタリー Intelligenceインテリジェンス セブンのメンバー、コードは003、コードネームはハニー。JamesジェイムズMayメイLoveラヴ男性、おこめ合衆国、インテリジェンス・コミュニティーの一つとして新設されたtannたん Intelligenceインテリジェンス Officeオフィスのメンバー。両名共に他国の諜報員、要注意人物です」

 端末から、抑揚の少ない音声が聞こえる。


 「・・・桜花おうか、聞き方を間違えたでしょうよ。二人と友人になれそうかな」

 「パパ、AIに何を聞きたいの」「ダディ、今解決すべきはAIの事じゃないはずだ」

 「すみませんマスター、質問の意図いとはかりかねています」


 「じゃぁ~桜花おうか、話しは聞いてたでしょうよ。リストアップ出来てたりしない」

 「はい、出来ています」「えっ、本当に」「wow、Amazingアメイジン


 「お~有難う。見せても良いかな」「ご自由にどうぞ、マスター」

 右にいるフランソワーズに端末を渡す。スクロールしてリストを見て。

 「ん~~~、見た事のない団体や個人名が多いわ。ジムはどう思う」

 俺に渡され、左にいるジムに手渡す。やはりいい感触ではないみたいだ。

 「ダディ、僕も聞いた事が無い。既存の政治家や団体がまるで入っていないよ」


 「桜花おうか、何か理由があるのかな。話して欲しいでしょうよ」

 「はい、マスター。名前が多くの人に知られている個人や団体は、既に利権構造が出来上がっており、マスターのプランを実行するにはむしろ障害になると判断しました」


 「ふぅ~~~ん。パパ、私も聞いていい」「桜花おうかこたえてくれるかな」

 「マスターが望むなら」「お願いするよ」


 「それじゃ、判断基準はわかったけど、この人達の活動は何故なぜ伸びてないの」

 「う~~~、しゃぁーーー」「パパ、シャァーーー言ってる」


 「桜花おうか、頼むでしょうよ」

 「個人、あるいは団体は、今の国連の在り方に疑問を持っています。又未解決事件の被害者のご家族又は関係者です。しかしバックボーンを持たない為、その活動範囲に限界がある為です」

 「なるほど、ダディ、各地に点在している。まとまっていない様だね」

 ジムが真剣に端末を見始めた。


 「僕も質問していいかな」「はい、ジェイムズ様」「どうして私はシャァーーーなの」

 「僕の感想では資金不足と言う事だろう。でも直接支援は出来ないんじゃないかな」

 「マスターのプランでは、喫茶NTRが周辺の土地を所得しゅとくする事になっていますが、小さな喫茶店が莫大ばくだいな資金は出し続ける事は不自然です。このプランを実行に移す前に、喫茶NTR100%出資のITベンチャー企業と資金管理会社を立ち上げ、グループ企業が資金援助をする形を取ります」

 「出来そうな気がして来たよダディ」「へぇ~~~パパより頼りになるかも」

 「でっ、でしょうよ」納得してもいい所なのかな。


 「でも私達はこのAIの支援は受けられないでしょう。膨大ぼうだいな演算をする為に大きなのがある、とは思っていたけど、当然秘密ひみつよね」

 「桜花おうかは、自身の存在を隠した状態で、二人をサポートする事が可能と思うかな」

 「条件付きで可能です」「条件て何」「しゃぁーーー」「パパ、私威嚇いかくされてる」


 「桜花おうか、条件を教えて欲しいでしょうよ」

 「衛星回線、スターリングを使えば、場所は制限される可能性はありますが、スクランブルや暗号化したデータを直接送受信でき、専用エンコード/デコードアプリを渡していれば、傍受ぼうじゅされても秘匿ひとくできると思われます」

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