第61話 交渉

 ん、一枚はアイスを包むのか。今皆が食べたのは生地4枚にチョコソース30ccと、問題のレモンソースは24cc程度で計算してる。


 この計算だとアイス包み1、クレープ生地1を一皿としてるでしょうよ。

 だからチョコソースは24ccに抑え、レモンソースを半分の12ccにしてるでしょうよ。

 つまりレモンソース12ccはクレープ生地2枚分。

 チョコソースはクレープ生地2枚分以上、生地1枚なら妥当だとうな量でしょうよ。


 「明乃あけのちゃん、一皿にアイス包み1と生地1枚なら、ソースを必要としているの生地1枚でしょうよ。このソースの分量らな2枚はいけるから、そうだねぇ~、一皿にチョコソースかレモンソースを選べる紅茶セットと、二皿に両ソースと紅茶が付いたお二人様セットにすれば、元は取れると思うよ」


 「えっ、ちょっとかして下さいな」はじめちゃんが手を出す。

 「ぉ~、はいな」お願いします。家賃取らないで。


 「まぁ~、本当。明乃あけのちゃん見て頂戴ちょうだい、実行可能よ」

 「見せて頂戴ちょうだいはじめちゃん」

 桜花おうかの端末を、明乃あけのちゃんとフランソワーズで見ているでしょうよ。


 「わぁ~流石パパ」「何と言う事かしら、いけるわ」

 明乃あけのちゃん良いの、フランソワーズも他国の諜報員でしょうよ。


 「ねぇ~、フランソワーズ」「どうかした明乃あけのちゃん」

 「フランソワーズ、この人は何故なぜ普段から働かないの、本当にあなたが甘やかした所為せいじゃないの」

 「やだぁ~明乃あけのちゃん、さっきも言ったでしょう。パパは出逢った時からこんなよ。・・・多分」


 とんとんとん。うあ~~~。

 ミス・テリー、かぴたん。いつの間にかカウンター側に回って、またもや俺の右側に。

 「ちちちち秘境ひきょう、さくたん部屋べやのけっけコレクションの謎」

 「パパさんパパさん、さくたんのがないのは」

 「さくたんは、つるつる」「さくたんは、つるつるなのだ」


 「うぎゃーーー」「おぅ」さくたんに背後はいごを取られた。

 びっくりした。「「うにゃぁーーー」」二人共もかなりおどろいてる。

 ばたばた、どたどた。「ミス・テリー、かぴたんっ、待ちなさいっ」

 「そう言われ待つ者はいない」「そうなのだ。さくたん怒ってる」


 ちょっとぉ~、3人共あぶないから。

 ミス・テリー、かぴたん、トイレ前半畳の目隠し空間に逃げ込んだら終わりでしょうよ。

 「ミス・テリー、かぴたんっ、二人共女の子としての自覚が足りないっ。お姉ちゃんがじっくりと教えてあげるぅ~~~、ふっふっふぅ~」


 「こんどはどうしたのかしら」「これですよ明乃あけのちゃんっ」

 フランソワーズの隣に座る明乃あけのちゃんに渡ったでしょうよ。

 二人共、ノートが明乃あけのちゃんの手に、状況が悪化してるよぉ~~~。


 『秘境ひきょう、さくたん部屋べやのけっけコレクション』をもう一度俺の手に取り戻して、桜花おうかにシミュレートを頼みたいがなぁ~~~。


 ぱさ。ぱさ。「ふぅ~~~ん、ほぉ~~~、あっ、私のもある」

 ぱさ。ぱさ。「なっ、明乃あけのちゃんっ」

 「はじめちゃん、どうしたものかしら」


 「所長っ」「はいっ」「見ましたか」「そらぁ~、初めに見せてもらったから」

 「あ~~~、はじめちゃんは結構カールきついのねぇ~」

 「ちょっ、フランソワーズ止めて頂戴ちょうだい」「別にいいじゃないの」


 「ふっふ~ん、今回は死ぬまでくすぐりの刑では終わらないからね」

 おっ、二人は完全に追い詰められたでしょうよ。さくたんしか見えないけど。

 「ミス・テリー」「かぴたん」「「ふんっ」」


 だだだだだ。「きゃっ、あっ、待ちなさいっ」さくたんの両側から二人が出て来た。

 なるほど、二人で同時にさくたんの両側をねら突進とっしん

 お互いが陽動ようどうになって、ねらいをしぼらせない、見事な戦術せんじゅつ


 だだだだだ。「遊びに行くっ」「かぴたんもぉーーー」

 はしっ。しいっ。かぴたんがった腕がつかまれた。


 たた。「かぴたんっ」「ミス・テリーッ」

 「なぁ~むぅ~」合掌がっしょう。「なむするなっ」


 「ふぅ~む、友を救うは、わが前にしめされた道の神髄しんずい。さくたん、これを見るっ」

 ミス・テリーいきなり、なむしてたでしょうよ。

 ポケットから、???卵。何時いつの間に。モーニングのゆで卵だろうけど。


 「卵?、ミス・テリーそれが何。今日と言う今日は3分は笑い転げてもらうかね」

 「ふっ、ふふふ。勝機しょうきっ」

 なんとっ、拘束こうそくされているかぴたんが、勝利を宣言。何に勝利するのか分らん。


 「さくたん、かぴたんとこれを交換」「さくたん、この取引に応じないと大変」

 「ど、どうなるの」「ミス・テリーの超絶ちょうぜつ技巧ぎこうは、スーパーリアル」


 初耳でしょうよ。娘子隊じょうしたいの面々を見てもかぶりを振る。

 明乃あけのちゃんやはじめちゃんも左右に顔を動かし、フランソワーズやジムは肩をすくめる。

 これだけ二人に密着している皆が、誰もしらない。

 その場で誰もが固唾かたずむ、ちょっと大袈裟おおげさか。


 「まず、かぴたんの手を放して」「う、うん」「ちち、これをさくたんに」

 ミス・テリーが左手を伸ばして俺に卵を取れと言う。人質交換ね。


 「かぴたんこっち」かぴたんが、ミス・テリーのもとへ。

 「はいさくたん」「うん」さくたんに卵を渡す。


 ミス・テリーとかぴたんが、少しづつ後退あとずさる。

 「ミス・テリーはね、つるつるさくたんを、卵で再現できるんだよ」「隅々すみずみまで」


 「うそ」「今からクラスの男の子達に見せてあげるの」「た、卵はないから」

 さらにに距離を取り、かぴたんがポケットから卵を取り出した。

 「「遊びに行って来るっ」」だだだ。


「皆止めてっ」

 入口に一番近いソファーに座っていた娘子隊じょうしたい、海自のかいちゃんワンツーと、空自のくぅ~ちゃんが動いた。

 続いて陸自の二人も席を立つ。


 「フランソワーズ、出させてちょうだい」

 「良いじゃない。隠さずに正しく教えてあげた方がいいと思うけどな」


 「私の妹達は、私だけのものなの」「はじめちゃんも過保護かほご

 「とにかく開けて頂戴ちょうだい」「はいはい」


 明乃あけのちゃんもはじめちゃんも、端末と秘境ひきょう、さくたん部屋べやのけっけコレクションをソファーに置いて、出て来た。


 チャンスだ。「フランソワーズ、フランソワーズ」「何何パパ」

 「ソファーに置かれてる端末とのけっけコレクションを取って」

 「けっけコレクション?・・・あ~これ、ん~~~と、はい」


 「有難う。それとフランソワーズ、後で二人に相談したい事があるのよ。暫くここに残ってくれないか」

 「ベットがいい」「考えとく」「もぉ~~~」

 フランソワーズが無言でジムに合図送る。

 気付いたジムは、大きな体躯たいくを器用に動かし、ミス・テリーとかぴたんの後ろを抜けて、入り口に一番近いソファーに座る。

 8年も付き合いがあれば、流石さすがだな。

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