第57話 愛を抜かないレモンソース

 中断したが残りの牛乳入れるか。

 ぱしゃぱしゃ。ねっちゃ。ぱしゃぱしゃ。ねっちゃ。ぱしゃぱしゃ。・・・。

 うん。出来た。フライパンに手をかざすと。・・・良さげな感じでしょうよ。


 お皿、13枚もあったか。

 後ろの食器棚を見ると、柄と形をそろえるのは無理だけど何とかなるか。


 かちゃかちゃ。作業台の上の棚に置く。あっ、フォークとナイフ。

 すぅ~。食器棚の引き出しを開けると、俺と一部の人はおはしだな。


 がしゃがしゃ。これも取りえず皿の横に置いて。

 ささっと砂糖を振りかけて、各ソースはボウルごと渡して好きなだけ掛けてもらうか、蜂蜜はちみつもまだあるし。

 良しっ、焼くか。菜箸さいばしとフライ返し、生地をすくうお玉ね。


 がちゃがちゃがちゃ。

 生地のボウルを半分ぐらい棚の下、奥に入れて、さっき棚に置いたお皿を一枚降ろして、フライパンの横に置く、スペースぎりぎりでしょうよ。


 おっ、え物のバナナと苺。

 「ジッ」待て、ジムにさせたら、又にぎつぶさないか。


 「ジム、出来たか」「うーん、ダディッ、パーフェクトさっ」

 「そうか、有難う。焼くからミス・テリーとかぴたん、さくたんに渡してくれないか」

 「OK」「で、ジム。フランソワーズに来てもらってくれ」

 「何故なぜだいダディ、僕じゃ不服ふふくかい」


 「いやぁ~、おっ、ジムも食べるだろう。俺も最後に食べる。俺とお前の席は、丸テーブルだ。あれ結構重いから、パワー自慢じまんのジムっ、頼むよモニターの下辺りに動かしてくれ。女性陣にさせたら評判落ちるでしょうよ」

  「NOノー problemプロブレム任せてくれダディ。マイハニー達にはさせないよ」


 どたどたどた。「マイハニー早紅耶さくや、僕の愛が入ったレモンソースさ」

 「抜いて」「Oh」「愛を抜いて」「Ohhhh、マイハニー早紅耶さくや


 「さくたん、ジムが泣き出すからめてあげて」

 「もうぅ~、有難うジム」「It’sイッツ nothingナッシング


 どたどたどた。「YEAH~~~」だだだだだだ。「パパなになにっ」

 「あ~、え物のバナナと苺を切ってくれないか。ジムに頼むと全部mashマッシュするかもしれないでしょうよ」


 「ふふふ、そうね、間違いなくするわ」

 「まな板とナイフ出てるだろう。レモン汁が付いてるから水で流して。後ろのレンジ台の上に有る、キッチンペーパーで水気を取ってくれ。ゴミ箱はレンジ台と食器棚の間にあるでしょうよ」


 「分かった」「ミス・テリー、かぴたん、バナナの皮、食べる」

 「私はいらない」「かぴたんもいらない。味ないもん」

 「さくたんは」「ん~~~、二人が食べないなら、食べないかな」

 評判、悪いでしょうよ。この子達が食べないなら、皆食べないでしょうよ。

 数万が無駄に。家賃の為にも、明乃あけのちゃんを何としても納得させないと。


 「フランソワーズ、バナナの皮はいてくれ」

 「うんいいけど、卵の殻が置いてあるよ。水かかっても良いの」

 「後でまとめて片付けるからかまわないよ。俺は焼き始めるから」

 かちゃん。生地をかき回して、おたまでひとすくい。じょわぁ~。


 「そう、じゃ」しゃぁ~~~。「キッチンペーパー、これね」ふきふき。

 「バナナの皮はからと一緒にしていい」「いいよ。よっ、一枚」

 「おっちゃん、上手うまっ。いい匂い、パンケーキと違う」じょわぁ~。


 ミス・テリー、かぴたんとカウンター席に座るさくたん。

 その足を納めている空間は、キッチンと客席を行きする時、ワゴンが邪魔にならない様置いていた場所。

 しかしさくたんが、「お姉ちゃんが、妹の隣に座れないのは可笑おかしぃ~い」と言った事がきっかけで、お姉ちゃんを主張する女性陣全員の意見として、一脚いっきゃく増やす事になったでしょうよ。

 以来、ワゴンはシンクの横に置かれる様になった。


 「チョコソースは出来たかな」「「できたぁ~」」「うん、出来てるよ」

 「ほい、ひと皿4枚。フランソワーズ適当にバナナと、3人の分は苺が3粒」

 「皆は、バナナはあるけど」「苺は2粒な」

 「分かった。でも本当に大きい苺ね」


 じょわぁ~。「あっ」ぼふん。かしゃかちゃ。茶こし。

 「フランソワーズ、そこに封の開いてる砂糖があるだろう」「あ~、これ」

 「それそれ。この茶こしにお砂糖を入れて、薄くでいいから生地に振りかけてくれ」

 「うんやってみる」ふりふり。「うわっ。このお砂糖細かい、直ぐに落ちちゃう」

 「蜂蜜もソースもあるから、無理に均等にしなくていいよ」「分かった」


 「さくたん」「あい」

 「味見様に使った小皿とスプーン渡して、各ソース用に新しいの渡すから」

 「ほぉ~い」かちゃかちゃ。「フランソワーズ、これをシンクに置いてくれ」


 「はいはい」かちゃかちゃ。「はい、さくたん。これ出来上がり」

 「あんがとう、おっちゃん、ソース用にスプーンは」


 「フランソワーズ、食器棚の引き出しから、大きいスプーン3本と小皿を3枚出して渡して」

 「はいはい」すぅ~。「これね」かしゃかしゃ。すぅ~。

 ぼふん。「うん~と。これでいいかな」かちゃかちゃ。「はい。さくたん」


 「ん~~~、あんがとう」「フランソワーズ、次、出来たよ」「はぁ~い」

 「「やふぅ~~~」」とんとんとん。「かぴたん苺丸ごとぉ~」「私も」「はいはい」

 「じゃぁ~これは私が」「御免、さくたんこれを渡してあげて」「はぁ~い」


 じょわぁ~。「フランソワーズ」

 「パパ、ブドウ畑の横で、ちっちゃなクレープ屋さんしようか」「考えとく」

 じょわぁ~。「聞き飽きたっ」苺はあきらめて、ご機嫌取っとくか。


 「はい、さくたん」「あんがとう。はい、かぴたん」

 「チョコソースはた~ぷりっ」「かぴたんめて」

 ぼふん。かしゃ。かしょ。すぅ~。かちゃん。すぅ~。小皿と小さいフォーク。


 「さくたん、味見するから、チョコソースをこの小皿に入れて」

 「あいあい」かちかち。「このぐらい」「おっ、有難う。さくたんも食べて」「うん」


 「フランソワーズ、苺一粒を縦に切って、ソースに触れない様に小皿に置いて」

 「はぁ~い」ことん。かちゃ。「はぁ~いパパ」これで俺の分は無し。

 

 「フランソワーズ、これ次な」「はいはい」

 かちゃ。「フランソワーズ」苺の半分をフォークに刺して、フランソワーズの口元へ。


 「パパ?」「手伝って貰ってるお礼でしょうよ」「ふっふぅ~ん」ぱく。「あーっ」

 「!、甘いっ、ジューシーで酸っぱくない。はぁ~、良い香り」


 残りの半分にチョコソースを付けて。「ほれ。フランソワーズお嬢ちゃん」

 「私、もう子供じゃなぁ~い」ぱく。「あーーーっ」さくたん、どった。

 「んーーー。ココアの苦みと苺の酸味に香りも混ざり合って複雑な風味に、苺の甘さを引き立てる甘味あまみ。美味しいぃ~~~」


 しばらくは大丈夫でしょうよ。二人には聞いて欲しい話もある。

 「これシンクに置いといて」「はいっ」「うううぅぅぅ~~~フランソワーズ」


 「ちょっとチョコ飽きて来た」「う~~~んかぴたんも」「言われれば私も」

 それはそれでしょうよ。板チョコ1枚分ぐらい食べた後に、又食べてるんだから。

 じょわぁ~。「さくたん、レモンソースも試してみて、さっぱりするでしょうよ」


 「じゃぁ~かぴたんするぅ~」かしゃかしゃ。

 「お試しちょっと」つぅ~。かちゃかちゃ。ぱく。

 「!うまいっ。さわやかなレモンの香り、さっぱりとした酸っぱさを、蜂蜜はちみつの極上の甘さが作り出してるよ」

 「かぴたんがこわれた」「ミス・テリーも食べればわかる」


 「ふぅ~」つぅ~。かちゃかちゃ。ぱく。

 「!香り立つレモン、お口をリフレッシュさせる酸味と複雑な甘み。美味しいっ」


 「えっ、そんなに」「さくたんも食べるよろし」「さくたんも食べるあるよ」

 「どれどれ」つぅ~。かちゃかちゃ。ぱく。

 「!フレッシュで、さわやかで、甘酸っぱくて、気持ちが軽くなって、めちゃ美味しいっ」

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