第55話 下ごしらえ

 「ジム手、洗ったか」「NOノー problemプロブレム

 「ジム、上の棚に、ステンレスのボウルボールが3つ、重なったのがあるから降ろしてくれ」

 「分かったよ」


 「さくたぁ~ん」入口付近にいるさくたんに、レジに置いてある電卓を持って来てもらおう。

 「電卓持って来てぇ~」「はぁ~い」たたたたたたたたた。「はい」


 「有難う、あっ、さくたん、ついでに手伝って」「いいけど何するの」

 「ダディ、ボウルをここに置くよ。ほかにあるかい」

 「上の棚の右側を開けて、全粒粉ぜんりゅうふん薄力粉はくりきこと、和三盆糖わさんぼんとうが5袋あるから、全部ろしてくれ。さくたん、食器棚の奥にババンホーテンココアあるから出してくれるかな」


 「おっちゃん、隠してるの」

 「お~滅多に注文無いから、奥にしまってある搾り器と軽量カップも出してくれるかな」


 「ん~~~、もっ、何に使うの」

 「折角せっかくりくちゃんがレモンを持って来てくれたから、レモンソースも作るよ」


 「しゅっぱそぉ~~~」「大目に蜂蜜入れるでしょうよ」

 生地はだいたい8枚二人分ぐらいで薄力粉はくりきこ100gだから、ざっくり多めに15人分だと。

 かちゃかちゃ。750g。この前使ったから、ぎりぎりかな。

 あっ、牛乳、有ったかな、パンケーキより生地が緩いから。

 かちゃかちゃ。1500ml。


 「ここに置くよダディ」

 「おっ、サンキュー、シンクの下から計量器、それと冷蔵庫から牛乳出してくれ」

 「どのくらいだい」「1500ml」


 かちゃかちゃ。「これと、これ、おっちゃん何処に置くの」「空いてる所に」

 ぼわん、かちゃん。「ミルク、Oh、1パックは封が開いてるじゃないか」

 ぱしゃぱしゃ。「残りは半分ぐらい。1Lと残り。ジャストぐらいだよ、ダディ」

 「カウンターで良いから、空いてる所に置いてくれ」「ダディ、ここに置くよ」


 喫茶NTRのキッチンは、狭い。

 隣のコントロールルームを、出来るだけ広くしたかった。さくたん要求で。

 IHクッキングヒーター2口、隣の作業エリアは幅45cmしかない。

 その隣のシンクは幅60cm、後ろには食器棚やらレンジ台やら冷蔵庫やら、人の立てるスペースの奥行きは5~60cm、3人も立つときゅうきゅうでしょうよ。


 で、俺のちっちゃなちっちゃな要望で、作業エリアの上に奥行き21cm、幅50cmの棚を、カウンターの開口部と面一つらいちに作ってもらう事で、奥行き+7cm、足して奥行き28cmの棚になった。

 作業エリアとの間は、見た目20cm以上の高さがあるから物が置ける。


 この棚にジムみたいに牛乳を置いたり、砂糖などの調味料を置いたりと、重宝ちょうほうするでしょうよ。

 下でサイホンを使っていても、上にお皿やカップを置ける。

 今回の様に大きなボウルに粉を入れて生地が作れる訳でしょうよ。

 俺って、偉いなぁ~。


 あっ卵、モーニング様に何個か茹でたなぁ~、二人分で1個、7.5個。

 「さくたん」「はぁ~い」「卵、8個あるか見て」「あい」

 ばたん。「ダディ、計量器だ」「お~作業台においてくれ」


 「次はどうすんだい」「お~一番大きいいボウルを乗せて、メモリをゼロにしてくれ」

 かちゃかちゃ。「ダディ」「薄力粉はくりきこを750いれてくれ」「OK」


 ぼわん、かちゃん。「たぁ~まご、、一番がいもうとで、二番もいもうとで、勿論もちろん三番もいもうと。四と五もいもうと。はっ、全部いもうとじゃん。おっちゃん8個あるよ」

 「有難うさくたん、出してシンクにでも置いといて」「ほぉ~い」


 「あっ、さくたん、無塩バター出して」「あいあい、全部出すの」

 「ちょっと待って」二人分で15gぐらいとして。


 かちゃかちゃ。112.5「さくたん、100g以上ありそうかな」

 「うん、何時いつもの450gが半分あるよ」


 「じゃぁ~いつも見たいに、今ある半分を溶かしバターにして、ジムが計量した粉に入れて上げてくれないかな」

 「分かったぁ~、あれ、パンケーキと同じ材料じゃん」

 「でしょうよ。緩い生地で、ふくらしが入ってないだけよ」


 「ダディ、出来たよ。少しだけ残った分はどうするんだい」

 「おっ、口を又ぱっちんと閉じて上の棚に戻しといてくれ、次はこの一番小さいボウルにココアパウダーを」

 かちゃかちゃ。「180g」

 かちゃかちゃ。「中サイズのボウルに和三盆糖わさんぼんとう、360gをはかってくれ」


 「ダディ、混ぜないのかい」

 「今、さくたんが溶かしバターを作ってるから、それまでにはかってくれ」

 「OK」


 「おっちゃん、スペースがない」「Oh~~~、ワゴンの上でバター切って」

 「分かった」後は、生地に入れるお砂糖だな。かちゃかちゃ。90g。

 「ダディ、はかり終わったよ」

 「ジム早いな、じゃお砂糖を、小さいボウルのココアと一緒にしてくれ。空いたボウルに今度はお砂糖を90gはかってくれ、それを小麦粉の入ったボウルに投入する」


 「ダディ、ココアと一緒にしたよ」

 「有難う、大きいボウルの横にでも置いといてくれ」


 ココア、お湯で混ぜるか。

 食器棚の引き出しにシリコンベラが数本あったな。

 すぅ~。がちゃ。あった。小さいのが2本、大きいのが2本。全部だすか。


 ちぃ~ん。「おっちゃん、バター溶けたよ」

 「さくたん有難う、悪いけど今度は、かぴたん用のマグカップを渡すから、水を150cc入れて、レンジでお湯にしてくれないかな、熱々あつあつでなくて良いから」

 「分かった、で、バターどうするの」


 「ダディ、小麦粉に砂糖を入れたよ」

 「さくたん、ジムにバター渡して」「ほいジム」「Oh~、マイハニーさく」「いや」

 「Oh~、それでダディ、バターをどうするんだい」

 「おっちゃん、ジムが大きいから食器棚にいけない」「ソーリー」

 「今出すから」びん。


 え~と、かぴばら、かぴばら、一番下か、かぴばらの絵がついてるのは。かちゃ。

 「ほい、さくたん」「あんがとう」


 「で、ジム、シンクにある卵を全部入れて、小麦粉と一緒にして混ぜてくれないか。丁寧ていねいたのむでしょうよ。これベラな」

 「任せてくれ」「ある程度混ざったら、牛乳を入れながら混ぜてくれ」「OK」


 ちぃ~ん。「おっちゃんお湯できたよ。どうすの」

 「どろどろのココアを作るでしょうよ」「それがチョコソース?」「そう」


 「はいはいはいっ、かぴたん混ぜる」「私もする」

 カウンター席に座って、キッチンをずぅ~と凝視ぎょうししていた、ミス・テリーとかぴたんが、急に声をあげた。

 まぁ~、この前見てるし、基本丁寧ていねいに、お湯を足しながら混ぜるだけだから。


 「やってみる」「かぴたんするぅーーー」「私も」

 「さくたん、お湯を使うから、手伝ってあげてくれないかな」

 小さいシリコンベラ二つと、小皿と小さいスプーンを3本渡すか。


 「スプーンを渡すから、どろどろてかてか、出来たと思ったら少し舐めてみて、粉っぽくなければいいから」

 「分かった」「カウンターの方に回ってくれるかな渡すから」


 「あい」たたたたた。「「さくたん、さくたん来たぁーーー」」きゃきゃきゃ。

 「お湯があるから暴れない。ここに置くから」こと。


 「さくたん、これボウル。基本少しずつお湯を加えながら混ぜるだけだから」

 「あい」「あっ、かぴたんする」「私がする」「ちょっと、二人共こぼれるよ」

 「はい、これベラね」「あい」「これ小皿とスプーンね」「あいあい」

 「二人共、気を付けるんだよ」「「「はぁ~い」」」

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