第44話 DNAとミトコンドリアDNA

 「所長、時間が、あと何点ぐらい問題が」「いっぱい」

 「はぁ~、整理しといて下さい」


 「そうしようと思ったら、皆が集まって来たんでしょうよ」

 「おっちゃんが仕事してるからでしょう。まだドキドキしてる」


 「だってねさくたん」「それで次はなんですか。所長」

 「おっ、γガンマは白骨化していると思うけど、DNAとミトコンドリアDNA、出るかな」


 「私は検出出来ると思うな」「と言うとさくたん」

 「うん、石済みの下にまってるんでしょう。だったら多分ほぼ全身が残ってると思う」

 「私も同意見です。それに獣に食べらる事も無かったでしょうから」


 「どうしいておっちゃん、DNAだけじゃだめなの」

 「あ~さくたん、この量子事件の発端ほったんとなったβベータ1の事件、その遺体からは2パターンのミトコンドリアDNAが検出されているから、γガンマがこの事件に関与してない事を主張するには、これに一致しない事が最も確実なんだ」


 「パパ、そのγガンマのDNAサンプルは取らなかったの」

 「フランソワーズ、DNAサンプルを取る前に殺害されたんだ」


 「Oh~~~、報告書を読んだよダディ、事故を起こした車から採取出来たんじゃぁ~ないのかい」

 流石さすが腕利うでききのエージェントだ。

 「ジム、βベータ1が同乗していた痕跡こんせきを取る為、指紋しもんの採集は有ったんだが、βベータ1殺害及び遺体遺棄の容疑を掛けられた逃亡犯と成った後も、何故なぜか行われず、そのまま終わっている」


 「可笑おかしいじゃないかダディ、逃亡中に整形したり、体形が変わる事は十二分じゅうにぶんに予想できる。本人確認の最も確実な手法はDNA鑑定じゃないか」

 「そう可笑おかしいんだよジム、だから最低でもミトコンドリアDNAが出て、βベータ1の事件の2パターンと不一致になれば、この白骨遺体はβベータ1の事件の関与を否定出来る」


 「そうなればγガンマの無実確定ですね」

 「いやまもちゃん、そうはならないんだ」


 「ぇぇぇえええーーー、何でですかっ、γガンマですよねっ」

 「まもちゃん、俺達は14年後の未来から見ていた。今現在誰も知らないんだ、客観的にγガンマだと証明しないとだめなんだ」


 「だってDNAが出たら、なんでしょう」

 「まもちゃんDNAに、私はγガンマですと、書いてある訳じゃないの、対象となる人の持ち物や身体そのものから採取したDNAパターンと比較、一致して初めて、あ~そうなんだとわかるの」

 「はじめちゃん有難う。そう言う事なんだよ。そこで明乃あけのちゃんの出番なのよ」


 「ぅぅぅううううーーー私ばかり働かせてぇーーー」

 「だってほら窓際まどぎわですらない警官が、未解決事件の関係者に接触したり、データベースあさってたら可笑おかしいでしょうよ。その点内閣情報官の、それも内閣情報センターの次長さんがどんな情報集めようと、文句言う人いないっしょ」


 「うきぃーーー、じゃぁ~ぁ、今度私のくちびるふさぐ、愚痴ぐちが出なくなるグチのバッグとか何かを買って下さいっ」

 「ちょっ、明乃あけのちゃんずるいぃ~」「では私も何か」「おっちゃん私もっ」

 「さくたんはともかく、国家公務員の皆がどうしてしがない地方公務員の俺にたかるのよ」


 「それだけの仕事をしているんですっ。ねぎらって下さいっ」「「「うんうん」」」

 「私はパパとさくたんの体があればいいよ」

 「ん~~~おっちゃんとセットかぁ~」「「「さくたんっ、考えないっ」」」

 「マイハニー僕は」「「「「ジムっ、黙って」」」」


 「分かった、何か考えとくよ。それで明乃あけのちゃん、γガンマのご家族にはコンタクト出来たかな」

 「ええ、全てを話す訳には行きませんが、それとなく話して、時計とか洗濯回数の少ない下着とか。指紋しもんからも検出出来た事例があるとか聞きましたので、とにかくγガンマが触れた物を今探してもらってます」


 「是非ぜひ残ってて欲しいね。でぇ~警察のデータベースはどかな」

 「おっちゃん、警察のデータベースて、何集めてんの」

 まったくコンプライアスの低い職場は困る。

 こんな事まで気に掛けなきゃならんとは。


 「ん~~~、簡単に言うと犯罪歴のある人の個人情報かな、さくたん」

 「あっ、αアルファの髪っ、γガンマが手ににぎってるやつっ、今の話の流れで行くとDNAが登録されているかどうかですねっ」


 「その通りだよっ、まもちゃんっ」

 「Wowわお、マイハニーまも、すばら」「ジムは黙っててっ」


 「ならばせめて僕の愛を届けるよ、むぅ~ちゅっ」投げキッスしやがった。

 「ていっ」なはははは、たたき落とされたぞ、ジム。

 「Oh~、後でじっくり」「べぇ~~~」

 子供好きの良い奴なんだがな。しつこくしなきゃ。


 「それでどうだったの明乃あけのちゃん、登録されてたDNA」

 「いいえはじめちゃん、いろいろしてそうなのに、綺麗きれいなものよ。真っ白、名前も出てこなかったわ」


 「えっ、それじゃだめな」「おっちゃ」ばちぃーん。「「「「きゃっ」」」」

 「よしっ」

 「・・・4人共可愛い」「お黙りなさい、フランソワーズ」「ええ、口を閉じて」

 「所長っ、本当に死んじゃいますよぉ~」

 「まもちゃんそこでしょう、私、真横まよこ、おっちゃん、びっくりしたっ」


 「いやつい手を打ちゃたよ」「ダディが大きな声を出すのはめずらしいね」

 「おっちゃん、登録されて無かったんだよ、αアルファの髪の毛、比較できないんだよ、全然ぜんせんよしじゃないじゃん」

 「いいえさくたん、登録がされてなかった事が、不幸中ふこうちゅうさいわいなの」

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