第41話 垣間見《かいまみ》える花園

 「あーーー、おっちゃんがフランソワーズをいやらしい目で見てるぅ~~~」

 さくたん、俺はもともとそう言う目なのよ。


 「折角せっかく集まって来たんだから、話しを進めたいんだけど。実際の所ちょっと困ってるのよ」

 「えええぇぇぇ~~~、もうちょっと遊びたかったのにぃ~、でも良いの、諜報ちょうほう員がいるよ」


 「Ohーーーマイハニー、僕の愛は本物だよ」

 「さくたん、私はねぇ~、ホクロの数だって知ってるのよ、他人行儀たにんぎょうぎにしないで」


 「なっ、何で、いくら何でも」「私は諜報ちょうほう員なんでしょう」

 「うがっ、リーク元は何処どこっ」「はじめちゃんと明乃あけのちゃん」


 「2人共もう私の部屋に入って来ないでっ、はじめちゃんも明乃あけのちゃんも、自分達の事務所に置いてる服とか下着とか持って帰ってっ」

 あ~机を貸してくれないのは、そう言う事なのね。

 「「いやぁ~」」


 「もう指でなぞりながら数えたりしなからぁ~」

 さくたん、よく目を覚まさないなぁ~。


 「まもちゃんだけとかずるいわっ」

 「私は護衛が任務だから、家に中に詰め所がある訳だし、ずるいとか言われても」


 もう~~~、だったら4階の女子寮に入れば良かったのに。

 「明乃あけのちゃんもはじめちゃんも、4階の女子寮、4部屋全室空きだったよね」

 「私、荒事あらごとはちょっと、情報を集めるのは得意ですけど」

 「狭いですし、私の自慢は運動神経です」

 「はじめちゃん破壊的だもんねぇ~」まぁ~さくたんの言う通りなんだけど。


 マンション桜花の最上階は女子寮として、4戸のワンルームが用意されている。

 但しここに住むには、すぐ下に住む、さくたん、ミス・テリー、かぴたんを護衛ごえい出来なくてはならない。


 3階のバルコニーの幅は1.7メートル、4階はこの幅の分へこんでいて、緊急事態の時は、各戸のバルコニーから飛び降りて、任務にあたる事も想定されている。


 しかしワンルームとしては良い物件だと思う。

 洋室は5畳だが、トイレ、洗面、バスルームがるし、ミニキッチンもる。

 何と言っても家賃はただ、電気は自家発電のオール電化。


 唯一ゆいいつ水道は引き込んでいるが、公費でまかなわれる。

 マンション桜花の敷地の1/3を占める広い駐車場の下は、頑強がんきょうな貯水槽になっていて、立てこもって事態の好転を待たねばならない場合、この水を発電の燃料にしたり冷却水にしたり、飲料水にもする。


 「あ~さくたん、もうしないって言ってるんだし、許してやって、話しを進めさせてくれない」

 「ん~~~もっ、今度したら許さないからねっ」


 「えぇ~もうしない、数え終わったから、今度は全身の毛の数を」「げっ」

 「それは大変ね、私も手伝うわ」

 「うっきぃーーー」ばたばたばた。

 「さくたんっ、落ち着いて、おちついぃ~てぇ~」

 お~有難ありがとまもちゃん、あらぶるさくたんを止めてくれて。


 「明乃あけのちゃん、はじめちゃん」

 「しゃぁーーーっ」「もうしません」「御免なさい」


 「本当っ、絶対だからねっ、嘘ついたらおっちゃん千人けしかけるからねっ」

 「すみませんっ」「御免なさいっ」「「もう絶対にしませんっ」」なんだかなぁ~。

 「よしっ、それで何を困ってるのおっちゃん、て言うか、この二人本当にいて良いの」


 「明乃あけのちゃん、どのみちある程度情報を渡さないとだめなんだし、いいしょ」

 「そうでしたっけ、まっ、よろしいんじゃないですか。それで困りごとは何です」


 「ダディ、僕が相談にのろうじゃないか」「パパ、話してみていい案が出るかも」

 「ダディ、パパ言うな、ホームドラマみたいに言うな。二人共概要は知ってるんだろうから、改めて説明はしない」

 「「OK~」」


 がた。「ちょっと待ってくれ、皆、少しあけてくれる」

 「何するのおっちゃん」「椅子いすとワゴンを動かすだけだよ」


 ごろごろごろ。ワゴンを玄関の方へ寄せる。

 ロッキングチェアを持上げ、背凭せもたれを光豊かな窓辺まどべに向ける。

 振り返ると、一点透視に見える部屋。

 座ると視界は、メイド服に囲まれさえぎられる。


 言ってみるもんだなぁ~、制服、これにして正解だよぉ~。

 つんけんされても何か、許せる。

 ごと。「立ち話じゃ済むほど簡単じゃないと思うし、さくたん達も座って」

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