第37話 自然なストーリー

 だんっ。「何っこいつっ」「まもちゃん、座って」

 ぎりぎりぎり。「もぉっ」どすん。


 なるほどね。いくがけ周辺を探しても見つからないし、仮に警察犬を出したとしても、車で移動されちゃ追えないね。

 まもちゃんはソファーを立ち上がり怒鳴るほど、歯ぎしりをするほど怒ってる。


 腹立つが、俺は怒りに任せる訳には行かない。

 警官として、冷静に証拠をさがさねがならない。

 それがαアルファΔデルタに法のさばきを突き付け、亡くなった二人のとむらいになる。


 「まもちゃん、陸自のりくちゃん」

 「違います、陸自のりくちゃん違います」

 「あ~取りえず二人には付き合ってもらおうと思ってる」


 「「え~」」「所長と10個以上離れてるしぃ~、ねぇ~まもちゃん」

 「そうですねぇ~、それに二人って言うのが、欲張りって言うかぇ~、ねぇ~」

 「ちっがうからっ、その付き合うじゃないからっ」


 「「ちっ」」「明乃あけのちゃん、引っかかりませんよぉ~」

 「おっかしいですねぇ~、私も含めて、ここにいる女の子は美少女ぞろいなのに」

 さらっと美少女言ってるよ。


 「所長、私も含めて美少女、ですよね」えっ、あれ、また読まれた。

 「所長、読んでません。心の声、だだれですよ」「そんなばなな」


 「ばなな違います、ちち警部補、いつも明乃あけのちゃんの大変立派なお尻が納まるのを見てるんですよねぇ~」

 「なっ、何故なぜそれを」

 「だからちち警部補が小声で全部しゃべってるんです。言いつけちゃいますよ、そろそろ」


 「おっほん。二人にはγガンマの遺体の捜索そうさくに立ち会ってもらうよん」

 「えええぇぇぇ~~~、あんなジャングルみたいなところで襲われるの嫌ですよぉ~」


 「じゃぁ~ジャン」「嫌です」

 「とにかく、陸自でサバイバル訓練を受けている二人には、立ち会ってもらう」

 「「「やぁ~いやぁ~い所長と二人っきりだぁ~」」」

 「まもちゃんいるからぁ~~~」


 「それでちち警部補、γガンマの遺体の捜索そうさくは二人が同行するとして」

 「「えええぇぇぇ~~~」」「行って頂戴ちょうだい


 「だってぇ~、明乃あけのちゃん」

 「もし今、所長がぽっくり逝ってしまったら、ミス・テリーとかぴたんはどうなるの、代替だいたいが見つかるまで、逝かせる訳には行かないの」

 「「わかった」」「はじめちゃん、行って来る」納得いかねぇ~。


 「そうなぁ~明乃あけのちゃん、どんなストーリーなら自然だと思う」

 「おっちゃんストーリーって」「桜花おうか、上で遊んでなさい」「ちぇっ」


 「所長と陸自の私達で行くんでしょう」

 「あんな人の寄り付かない所にいきなり入って、あたかも知っていた様に白骨遺体を発見、それも行方知れずに成っていた逃亡犯、可笑おかしいでしょう」

 「そうかなはじめちゃん、ありそうだけど」


 「まっ、その前に証拠を探そう」「そうね」「そうですね」

 「はいっ」「はいっ、海自のかいちゃんっ」「ちっがいます」「それで何かしら」

 「おっ、この映像は10年以上前の出来事ですよね」「14年前ね」

 「何が残ってるんですか」「それを今から見て行くのよ空自のくぅ~ちゃん」

 「違いますよぉ~」


 「何も見つからなかった時は、どうなるんです。捕まるんですよね」

 「遺体がγガンマである事はわかるかも知れないけど、逮捕は出来ないし、被疑者ひぎしゃがいない以上検察が立件りっけんする事は出来ない。良くて自暴自棄じぼうじきになったγガンマがここで自殺した、場所が変わるだけじゃないかな。まもちゃんは納得いかないだろうけど、未解決のまま終わると思うよ」


 「そんなぁ~、さくたんやミス・テリー、かぴたんの頑張りは無駄になるんですか」

 「そう言う事になるね。だからここは探偵事務所なのさ、必ず結果が出るとは限らない」


 「それでどうします、ちち警部補」

 「ここに入るのが当然と言うか、自然な人間、いるかねぇ~そんな人」


 「ここ大戦中に造られたんですよねぇ~、あっ、まもちゃんまもちゃんっ、あそこあそこ」

 「え~どこ」


 「ほら、駐屯地ちゅうとんちでイベントした時、まもちゃんにしつこくちょっかい出して大騒ぎになって撃破された奴、あいつの所属ならいけるんじゃない」

 ほぉ~、まもちゃんに、なかなかの心眼しんがんをお持ちの御仁ごじんですなぁ~。


 「あ~いたねぇ~、陸自のりくちゃん」「同じ部隊でしょう、名前で呼べよぉ~」

 「それで陸自のりくちゃん、それは何処どこなの」


 「もうぉーーー、え~と、確か防衛省の隅っこで戦史と言うのを研究してるとか」

 「ぁ~~~防衛研究戦史研究センター、あそこなら戦史研究の調査として入り込んでも可笑おかしくないわね。それじゃまもちゃん、おさそいして来て」


 「嫌ですっ」「どうしてぇ~、所長以外にもててるのにぃ~」

 「肩抱いて来るしっ、腰に手を回すしっ、お尻、触ろうとするんですよっ」


 「あ~なるほど、旧世代の人類ですね」「でしょぉ~はじめちゃん」

 いやいやいや、人類でまとめちゃだめでしょうよ、俺も入ってるし。

 俺はね、シャイだから含まれないと思うな。


 「所長はいのかしら」

 「・・・ん~~~、さくたん、ミス・テリー、かぴたんの為、何とか耐えられる」

 あんがとう~、許容範囲内におさまってよかたよ。


 「はじめちゃん、お友達でさぁ~、戦史とか郷土史とか研究してる人で、信用できる人知らない、その方向性はいけそうだからさ」

 「はぁ~、知り合いを当たって見ますけど、期待しないで下さい。私、分からない事を、あ~でもないこう~でもない言うのを、“ロマン”、て言う人嫌いなんですよ」

 あぁ~ははは。「わかったよん、俺も当たってみるよ、方向性はこれで」


 「じゃぁ~私の方でも探してみます」

 「お願いするよ明乃あけのちゃん、見つかったら二人に連絡するから、日程を調整しようか。ここからは俺もさぁ~仕事しないとだめだからさ」

 「は~い」「働いてない自覚はあるんですねぇ~」


 「おっほん、明乃あけのちゃん、証拠があっても無くてもγガンマをあのままにしとく訳には行かないからさ、いつもの様に内閣から国家公安委員会委員長、大臣に言ってさ、委員会から警察庁長官に岩ってへ県警に広域捜査本部を置いてもらって」

 いよいよ地方公務委員の俺の出番だ。


 「はい、そこは私が責任を持って当たります。総指揮と全ての権限はちち警部補で良いですね」

 「お願いするよ、ちなみに、今の委員長は何の大臣」「内閣府特命担当大臣」

 「ふぅ~ん、何する人」「あっ、え~と、防災、とか海洋政策とか」

 素人さんかいっ。ねぇ~この国の大臣ってどうして素人さんが成るのぁ~。

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