第20話 お友達は工作員?

 「ダメだよぉー、この施設に部外者を立ち入らせちゃっ、ここはさくたん、ミス・テリーとかぴたんの生命と人権を守る為の物だよ。この国に滅多にない、政治家や官僚の不正を隠す為じゃない、まっとうな最高機密だよっ」

 「おっちゃん」だめっ、こればかりは幾らさくたんがそんな顔をしてもだめだっ。

 「所長ぉ~」だめっ、たらだめっ、本業の明乃あけのちゃんの色香でもだめっ。

 「あの、・・・ちち警部補」だめだめだめっ、はじめちゃんでもだめっ。


 きゃっきゃ、きゃっきゃ、わいわいがやがや。がらんがらぁ~ん。

 「たっだいまぁーーー」「帰ったぁ~」「防人さきもり3等陸曹りくそう娘子隊じょうしたいっ、帰還しましたっ」

 お帰りぃ~。


 どたどたどた。「あれ、皆どうしたんです」

 「ん~~~ちち、どうした」「ぱぱさん、どうした、何固まってるの」


 「まもちゃんと娘子隊じょうしたいの子達も、お友達の事聞いてたんだってぇ~」

 「えへへへ、それはまぁ~、いつも一緒ですからね」

 「ちち呼びたい」「だめ」

 「え~、かぴたんも呼びたいよぉ~」「だめ」


 「「ねぇ~、ねぇねぇねぇ~」」「ん~~~」袖引っ張らないで。

 「「ねぇ~ねぇ~ねぇ~」」すらないで。

 「ミス・テリー、かぴたん、お家には呼べないんだよ」


 「「ねぇ~ってばぁ~」」はっ、ちょっ、・・・何うるうるしているの、待って。

 「あ、・・・あのね、ミス・テリー、かぴたん」「「ぅ~~~~~~~」」


 「ちょっ、娘子隊じょうしたいっ、任務を遂行っ、二人におやつ上げてっ、まもちゃんは残ってっ」

 「「「「YesイエスSirサー!」」」」

 「はい、二人共こっち来て、先におやつ食べよ」

 「「べぇ~~~」」えええぇぇぇ~~~。


 「はぁ~、又明乃あけのちゃん達がよけぇ~な事教え込んで、あんな事してるんじゃないよねぇ~」

 「ちっ、違いますよぉ~」怪しいぃ~。


 「それでまもちゃん、何人ぐらい、明乃あけのちゃん身辺、調べてある」

 「え~、仲が良いのは3人ですね。しずかちゃんとあやちゃんとひかりちゃんかな」


 「明乃あけのちゃんは」

 「あ、はい、しずかちゃんは普通のサラリーマンの家庭です。工作員の接触はありません」


 「ネットも」「はいグリーンです」「残りの二人は、どう」

 「あやちゃんのご両親は自営業で、イエローです。周りに工作員の存在が確認されています。特にお隣。ひかりちゃん所は一般的なサラリーマンの家庭ですが、通っている塾の講師に工作員が確認されています。イエローです」


 「やっぱり子供を使おうとしてるね、お隣は。それで内閣情報センターはどうしたい」

 「好ましい接触ではありません」「だよねぇ~」

 「ですが、私達はさくたんにもミス・テリーにもかぴたんにも、多くの人と同じ環境に近いものを経験させてあげる事も私達の職む、いえ、私達が成すべ事と思いますが」


 「はぁ~、イエローはグリーンに出来そうなの」「合法的には難しいかと」

 「ん~、わかよぉ~、ひかりちゃんの塾、何時なんじから」

 「17時からです」


 「はじめちゃんうち、喫茶NTRってさぁ~、14時から17時ってどのぐらいお客入ってるの」

 「ランチの後はさっぱり」

 「あ~確かに、おっちゃんがコーヒー豆を一人で消費してる感が強いよねぇ~」


 「あっ、そ、そうかぁ~、お客いないのかぁ~、じゃ閉めよう」

 「「「「えっ」」」」「でも喫茶NTRの経費は、公費だけではやっていけませんよ」


 「桜花、喫茶NTRの売り上げと経費、純益もだして、後グラフで月毎、曜日平均毎、時間平均毎出して」

 「ほぉ~い」「「「「お~」」」」


 タブレットに喫茶NTRの経営状態が表示された。

 時間平均を見ると、昼を過ぎた辺りから急降下をして、閉店まで低空飛行だ。

 「桜花、このデータを素に、14時から17時まで店を閉めた時をシミュレートして」

 「はい、出来たよぉ~」「「「早っ」」」

 「さくたんの設計ですから」「えへへへ、照れる」


 さすがの俺も聞いた事がある。

 通常のタスク処理しか出来ないコンピューターでは、こうした営業のシミュレートを行うと、規模にもよるだろうが1年以上かかるらしい。

 ネットを使った並列処理系で同等の処理をすると7日で終了したと聞く。

 規模の比較は出来ないが、桜花は数秒で成し遂げた。

 やっぱりさくたんすげ~なぁ~、桜花もすげぇ~。


 「「「ん~~~」」」「桜花、シミュレートした。1%ぐらいしか変わってないよ」

 「したよ、ちゃんと」


 「ねぇ~、桜花、所長のコーヒーを朝の一杯にして、もう一度お願いできない」

 「ほぉ~、明乃あけのちゃん、良く見てますなぁ~」「早くしなさいっ」

 「じゃっじゃぁ~ん」「「「「「早っ」」」」」


 「「「ん~~~」」」「あっ、あれぇ~」「所長、日に一杯だけは見逃して上げます」

 俺が朝のいこいの時だけにすると、純益が明らかに上がった。

 「はい、御免さない。控えます」


 「それで、お友達どうします」

 「あ~ミス・テリーとかぴたん15時ぐらいまで学校あるよね。15時できっぱり閉めよう」

 「桜花、1時間長くお店すると売上、伸びるの」「変わらないよ」


 「うっ、うちに上げるのはだめ、閉店後のここ喫茶NTRの中だけ、はじめちゃん、さくたんと桜花、メインコントロールルームに絶対侵入されない様に」

 「解りました」「おっちゃん任せなさい」「OK~」


 「じゃぁ~さ、ミス・テリーとかぴたんに教えてあげて、さくたん」

 「おっちゃんありがとね」たたたたた。「「やふぅ~~~」」がやがやがや。


 「で、明乃あけのちゃん、はじめちゃん、まもちゃん、その子達が来たらさぁ~、優しくしてあげてね」

 「うん、良い子達だし」「問題ないです」「二人共違うわ」

 「明乃あけのちゃん何かするの」

 「懐柔かいじゅうするの、ここにいる皆で、親御さんに話さない様に」

 「何をするつもり」


 「はじめちゃん、いつもの通りにしていればいいさ、仲良く成ってくれればいいよ」

 「そうちち警部補の言う通り、但し、絶対に嘘はつかない」


 「信用を無くしてはだめさ、例えばここで何をしているのか聞かれたら、喫茶店と言えばいい、量子探偵業務の事は聞かれてないから答える必要はない、嘘もついてない」

 「量子探偵業務について聞かれたらどうするの、明乃あけのちゃん」

 「どうして私に聞くの」「専門家でしょう」

 「まもちゃんが何時いつもしている事を答えればいいじゃない」

 「ぉぉぉおおお~~~、大カラオケ大会、うんうん嘘じゃない」


 「さくたんや娘子隊じょうしたいの子達にも言って、徹底てっていさせて。そうでないとその3人とその家族が危険にさらされるからさ」

 「わかったわ」「了解っ」

 「桜花もだよ」「お話ししたいけど、分ってるぅ~」


 「それで皆、今日は予備観測できるの」

 「所長、桜花は最終チェックだけです」

 「周辺に怪しげな人物はいなかったよ」

 「状況によっては予算を再度申請しないとですが、今回分はあります」

 「じゃぁ~、17時からね、まもちゃん、たまにはビー」

 「ダメですよ、所長、税金です」「はい、すんません」

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