第9話 おねむ

 結局、さくたん、ミス・テリー、かぴたん以外の全員が手持ちのタオルを拠出きょしゅつする事で落ち着いた。

 「あ~皆悪いね。次回からジャージと着替えとタオルを用意するよ、ありがとね」

 「必ずそうして下さい」

 「わかった、そうする。でぇ~、時間も無いし何か分かったかな」


 「おっちゃんおっちゃん」「ちち、ここ見て」「これね絶対車だよぉ~」

 「「「「「うんうん」」」」」「視点を変えてみるとこう言う形です所長」

 はじめちゃんがタブレットを操作すると、とても荒いドットが並ぶ3D画像の視点が変わる。


 本当に荒い、車と言ってる物も、四角柱だし、丸いものは多面体でしか表示されない。

 しかし観測時間帯に何者かかがいたと言う事を知るには十分だ。

 それに動画だから、大まかに何をしているのかも推測できる。


 「あっ、人らしき物が二体動いてます」

 「お~γガンマの単独犯じゃなかったけっ」


 「そうです。ちょっとめてっ」

 「どったの明乃あけのちゃん、俺も嫌になってるよ、冤罪えんざいじゃん」


 「可能性は非常に高まりました。ここ見て下さい」

 「ん~~~、この車ハッチバックみたいだね」

 「γガンマが7月1日21時に物損事故を起こし、殺害現場とされる車はセダンです」


 「なっ、・・・んですとぉ~~~」

 「あ~じゃぁ~、遺体遺棄事件はもう当てはまりませんね」


 「まもちゃん、俺どうしよう」

 「誰のお尻か分かりませんが、きれぇ~~~にいてあげるしかないっしょっ」


 「だよねぇ~、はじめちゃん時間帯何時いつ

 「日付はZCEH年7月1日午前2時半ぐらいですね」


 「それじゃその時間を中心に前後30分と、この車と人物らしき物の座標と、その下の川床かわとこ、それと故人には申し訳ないが、落とされる軌跡を知る為、その間の空間、この3件を最高解像度で量子探偵業務を行うよ」


 「ちち、はい」ミス・テリーがサンドイッチを差し出してくれた。

 「有難うよぉ~ミス・テリー、あ~~~」

 「あーーー、かぴたんもぉ~」お~かぴたんは唐揚げかぁ~、有り難いねぇ~。


 「なっ、何をしてるの二人共」「えっ、ちちえさ

 「さくたん、だめなの」「かぴたんもあげたい」


 「「「「「「だめっ」」」」」」「みつかれる」するかぁーーー。

 「はい、さっさと食べて下さい」紙皿、・・・良いけどね。

 重労働だからね、少しでも飲み食いしてないともたないよなぁ~、3時間は。



 「さくたん探偵、かぴたん探偵、参ろうか」「「Yeah~」」ぱちん、ぱちん。

 「「「私達が箱を開けて、猫ちゃんを殺した仕掛けを確定してあげる」」」

 「「「「「「「「Yahoo~」」」」」」」」」


 ♪どっんどっとっと。「「「「「「「どっんどっとっと」」」」」」」

 「「「「「Yahoo~」」」」」「「Yeah~」」「「「あわわわぁ~」」」

 「ミス・テリー、かぴたんもういいよ。1時間後に休憩ね」

 「「は~い」」「ちち、きりきり歩けよ」「パパさんふぁいお~~」


 ♪とこととととと、ちゃんららぁ~ら、ちゃんららぁ~ら。

 「あ~~~、ぷりっぷりっ、プリットキュアだよ、さくたん、ミス・テリー早く早く」

 「ちょっ、かぴたんっ」「仕方ない」たったったったったっ。


 ♪ちゃんららぁ~ら、ちゃんららぁ~ら、ちゃんちゃぁ~ん。

 「「「Let’s shining プリケツちゃえ Viva プリットキュア 丸み追いかけ Yeah!!」」」

 何、さくたん、二人と完璧に振り付け合ってるじゃない。



 ♪「理想も妄想も現実も、全て君を軸に回る新しい世界へぇ~」

 やっと終わりかぁ~、さくたん、はじめちゃん、早く力落として、死ぬ。


 「かぴたんっかぴたんっ、まだおねむしちゃだめだよ。おっちゃん消えちゃうよ」   

 「ん~~~、分かってる」


 「ほら、ミス・テリーも頑張って、ミス・テリーッ、ミス・テリーッおっちゃん光出してるっ」

 「ぅ~~~、吹き飛ばしちゃる」


 「だめっ、ほら、ミス・テリーもかぴたんもゲージ見て」「「うにゃぁ~」」

 おいおいおい、大丈夫なのかぁ~、灰燼かいじんに帰しましたじゃすまないぞぉ~。

 おおおぉぉぉ~~~、ゲージの径が最小になった。あっぶねぇ~。


 「「にゃぉ~」」「ふぅ~」「ふぃ~」

 「良く出来ました。はい、お風呂入っておねむしようか」

 「うん、寝る」「かぴたんも寝る」

 「じゃぁ~しばらくそこで寝てて」「「あ~い」」


 お~切れた。「ぁ~~~、疲れたぁ~~~」

 俺33だけど、自衛官みたくはきたえてないし、2Gで4時間とかきつ過ぎない。

 もうぅ~、足腰がくがくだよ。

 しばらく床に手を着いて、回復を待たないと、ソファーにも行けそうにない。


 「本当は私が運びたいけどまもちゃん、ミス・テリーとかぴたんをお風呂に入れて寝かせて上げて」

 「まぁ~かせて、隅々すみずみまできれいきれいにして上げるから、ぐぇ~へへへ、娘子隊じょうしたいっ、出撃っ」


 「「「Yes, ma’amイエス、マアム!」」」」

 「自衛官だけど、私もそれはいいわ、はじめちゃん、メインコントロールを通って上がってもいい、お風呂近いし」

 「まもちゃんっ、窓のカーテン閉めて。工作員が外から見てるかも知れないから、マンションのエレベータから上がって」


 「うん、了解っ」きゃっきゃ、きゃっきゃ、わいわい。

 どたどたどた。がらんがらぁ~ん。

 二人をおんぶして出て行った。

 蟒蛇うわばみごとく飲んでたが、大丈夫なのかぁ~。


 「さくたん、データの確認とデータ処理のスケジュールを、私は重力波望遠鏡チームに観測の終了を伝えるわ」

 「わかったぁ~、はじめちゃん」


 「と言う事で明乃あけのちゃん、所長の後始末よろしくぅ~」

 「分かってますよぉ~、あっ後、喫茶NTRは明日臨時休業にするから、上がったらまもちゃん達に言っといて」

 「分かったわ、少し進め方を考えないと、所長だけでなくミス・テリーもかぴたんもさくたんも疲れ果てて持たないわね」

 「ええ、明日以降に検討しましょう。楽曲がっきょくが持たないわ」「同じく」

 そっちかよっ。



 「いつもの椅子を持って来ますから、ちょっと待ってて下さい」

 「有難う。動けないは、これ」


 がっ、がたん。きっき~。「おもぉ~~~」がっ、がたん。

 「ちょっとちょっと、お店の床に傷が付くでしょうよ」


 「めときます」「お願いします」がっ、がたん。きっき~。

 がっ、がたん。「はい、押さえときますから」「あんがと」がたっ、ぎしっ。

 俺はグラグラとらぐ足にあらん限りの力を込め、座面に手を突き支え、ようやく座れた。


 あ~らくちん。「放しますよ」「お願いするよ」ぎしっ。

 「酎ハイならありますよ」「ビールが」


 「酎ハイならありますよ」「じゃぁ~それで、あ~唐揚げ美味しかったな」

 「パスタが残ってますよ」「じゃぁ~それで」

 「唐揚げとかピザとかはミス・テリーとかぴたんがおやつ代わりに食べるので、お菓子類はさくたんと私達が美味しくいただきますので」

 最後の何か違うくない。


 「ここに置きますよ」「う~ん、有難う、いただくよ」

 丸テーブルの上にレモン酎ハイとミートソースのパスタが置かれた。


 からん。ごくごくごく。

 かぁーーーーーーー、上手いっ、これが五臓六腑ごぞうろっぷに染み渡ると言うやつかぁ~~~、う~んまっ。

 ごとん。ずずず。嗚呼ああ、上手い、パスタに絡むミートソース。

 ひき肉の旨味うまみ、トマトソースの甘さとほのかかな酸味さんみ


 「所長、空調そのままにしていきますので、もう寝そうですよね」

 「ん~~~、体力には自信が有ったんだが、・・・ひどく疲れた。じゃっ聞いとこうか。このデータ何時いつ頃見れそう」


 「さくたんの話では4日ぐらいで連続した動画として見るそうです。はじめちゃん、外務省としては国防に関係する事柄が含まれていないか見ないとだそうです。2日欲しいそうです。たとえ国防に関する事柄があっても量子探偵事務所内で隠す事は無いそうです」

 「そっか、分かった。明乃あけのちゃん、悪いけどさぁ~お店、大まかにかたずけて、それで上がって」


 「ええ、そのつもりです。あ~寝ないで下さい。早くお望みの飲み食いして下さい。片付かないでしょう。お残しは許しまへんえ、税金なんですから」

 「鬼かっあんたは、眠いっ」「だめっ、喰えっ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る