第76話

「フフッ……。海賊相手に後ろからバッサリなんて、いいのかな」


 楠田先生が長刀を抜いて、忍び足で黒髭たち海賊に近づいていった。

 集落の中央にたき火があって、その周りに黒髭と野郎どもが肉を食べていた。音もなく黒髭の後ろに立つと、楠田先生は長刀を振り被った。


 だけど、運悪く。

 ガサっと、俺たちが潜んでいる森の草木から動物が顔を出した。

 

「なんだ! てめえは!!」


 野郎どもの一人が楠田先生に気が付いてしまった。


「風ノ助くん! 煤野沢くん! 早く海賊たちを倒すんだ! 仲間を呼ばれたら大変だ!!」 

 

「うりゃーーー!」

「オラーーーー!」


 俺と煤野沢は森から海賊たちに飛び掛かった。


 カキ―――ン!


 楠田先生の長刀は黒髭のサーベルで弾かれてしまった。黒髭が切り返しをして、楠田先生の首を狙う。


「風よ!!」


 俺は突風で、黒髭を後方へ吹っ飛ばした。

 野郎どもが一斉に俺と煤野沢に飛び掛かる。


「風ノ助くん! 煤野沢くん! 一人も逃がしちゃいけない! 黒髭は私に任せて!!」


 楠田先生が態勢を整えて叫ぶ。

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ジパング 風と海賊たちの唄 主道 学 @etoo

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