第68話 歴史の教科書

「風ノ助。かったりいから俺は一人で海賊たちとやってるからな」

 煤野沢は抜刀して、海賊たちの幾つもある大船のところへと降りていった。

「わかった! 煤野沢! あ! 大海賊ベンジャミン・ホーニゴールドには気をつけてくれ!」


 あれー?

 下の方では海賊たちが散り散りに逃げ回っている奴らがでてきたぞ。

 さすがにいくらなんでも伊達政宗の全軍には敵わないのだろう……。

 今まで海の上にいたからまともに戦えなかったからなあ……。


 やった! これなら信じられないほど強敵である天使たちだけと戦える機会があるはずだ!


 よし、俺は大天使と一騎打ちといこう。

 大天使はその無表情な甲冑の仮面を被り直しているところだった。

 俺にはそれが、余裕の色のように捉えられた。


「本気だしちゃうぞーーー」


 俺は大天使の懐目掛けて身を低くして滑走した。

 

「せいやっ!」

 

 下方から力を絞っての刀の振り上げで、大天使の甲冑のつぎはぎの首の根っこを狙う。


 即座に大天使の大きな槍が振り回され、攻撃を阻止された俺の刀が火花を飛ばした。


「痛ってえええええ!!」


 刀を握る手が一瞬緩んだ。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る