第58話

 どうやら、ここから見ても連れはかなりの腕利きのようだ。

 皆、筋骨たくましいが、そこらの荒くれとは違って凄く冷徹な顔だ。武器もサーベルにピストルを持っているが、どれも熟練された武器だった。


「今日はいい天気だなあ。天使さまも今じゃ小島でお茶を楽しんでいるだろうなあ。俺たちの気の利いた紅茶だ。高かったんだぞー。まあ、どれも盗んだんだがな」

 

 潮風がベンジャミンの呑気な顔を撫でている。


「そこをどけ。俺たちは元の世界に帰るんだー!」

 

 俺は潮風を集めていた。


「ふんふん。まあ、まずは落ち着けよお。交換条件といこうかい。俺たちは、お前の城にある教科書? というのが欲しいんだ」


「は? へ……??」


 な……なん??

 教科書??


「なあなあ、天使さまが言ったんだよ。その教科書で歴史を変えられるってな。凄いよなあ。だったら、どんなことしても手に入れてよう。そしたら、俺たちの海賊共和国が世界そんものになれるって話だ。ああ……ロマンだなあ」


 ベンジャミンはニカッと微笑んだ。

 周囲の海賊たちが一斉にピストルを……クラスのみんなに構えた。


「卑怯だーーー!! ……なんてな!」


 俺は集めた潮風で暴風を作り、あっという間にクラスのみんな全員を風の絨毯に乗せた。


 潮風の絨毯は突風と化してクラスのみんな乗せて、一直線に空間の穴に突入していった。


「な?! な?! なんだそりゃーーー!! お前らーーー!! すぐに来んかーーー!! 囲め!! 囲め!!」


 ベンジャミンが驚いて、部下たちを呼んだ。


「じゃ、また明日なーーー!!」


 俺は風を呼び。

 空を飛んで空間の穴へと突入した。

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