第57話
酒樽が乱雑に置いてある黴臭い地下は、海賊たちが倉庫変わりにしてあるようだ。
その隅に蔵があった。
「酒樽をみんなでどかして、蔵に入らされたんだ」
「うん? ちょっ、ま、待ってくれ! 見張りがいる!」
その数は4人。
蔵の前に陣取っていた。
「うん?! なんだおめえはー!! 見たことねえ顔だぞ!!」
「こいつ! 日本にいた伊達政宗だ!!」
皆と同じ学生服姿だけど眼帯と刀を持っている俺を見て、見張りたちが一斉にサーベルを抜いた。
「でやっ!」
俺は瞬く間に刀を一振りし、4人の見張りのど真ん中につむじ風を発生させた。
見張りたちの身体が回転して吹き飛ばされる。
船壁に派手に激突して、全員気を失ったようだ。
だけど、気を失っていない見張りの一人がいた。
ピーーーー、って、笛を吹く。
これは多分、仲間を呼ぶためかー!?。
途端に、ドタドタと上の方が騒がしくなった。
「ま、まずい!! 早くみんな船の外へ!! ここは俺に任せて!!」
酒樽だらけの地下で、いや、狭い倉庫で刀を振るのは、割と高度な技術だって、おじいちゃんが言っていた。
俺は目をつぶって刀身を面前に振って。
そして、刀を脇に挟むかのように構えた。
こうすることで、刀を短く振れるんだ。
狭い場所での戦い方だ。
「うおりゃーーーー!!」
「おらーー!!」
「殺す―――!!」
次々と迫り来る海賊たちの脇や首筋、手首を斬り結ぶ。
刀をあまり大振りにしないので、数がこなせる。
みんなは俺の後ろにいるけれど、隙を突いて……?
「あれ……??」
後ろから殺気が物凄い勢いで溢れていた。
嫌な予感がして振り向くと……。
クラス全員が割れた酒瓶を持って戦闘態勢だった……。
恐れをなした海賊たちが一目散に逃げて行く。
「ははっ! じゃ、船の外へ行こうよ!!」
俺たちは、みんなで甲板まで行くと、一人の男が数人の海賊を連れ立ちふさがっていた。
大海賊ベンジャミン・ホーニゴールドだ。
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