第56話

 プロビデンス島の海賊共和国だ!!


 天使たちが再び口から光の束を放つ。

 今度のはもっと強力だった。


「うわわわわわーー!!」


 防御用の風に穴が空いてしまった。

 貫通した光のビームの一つが俺の右頬をかすめた。


「痛っつうううう!」


 どうやら、天使たちは俺を敵だと思っているようだ。

 真っ白い甲冑を着た天使たちだった。白い羽は背中から足元まで生え。光の環っかがついた兜をつけている。手には槍というよりもランスと言える武器を持っていた。 

 

 後ろの小島には、ベンジャミン号が停船していた。


「ウキィ―――!! こうなりゃ!! とうっ!!」


 俺は向きを変え空間の穴へ飛び込む振りをして、海へと頭から突っ込んだ。

 海中を泳いで小島は放っておいてベンジャミン号を目指す。

 海の魚が綺麗で見たこともないんだな。


 しばらく泳いでいると、海底にあるベンジャミン号の幾つもの錨が見えてきた。

 タラップだと目立つから錨をよじ登っていこう。


 錨をよじ登ってギラギラとした太陽に照らされた海上へでたら、小窓からベンジャミン号の船室へと忍び込んだ。


 天使たちも海賊たちもまだ俺がここにいることを知らない。

 さあて、みんなはどこだ??


 ベンジャミン号は大きな船だ。

 船室も数え切れないほどある。


「あれ?」


 船室の一つにドンドンと大きな音がしている部屋があった。

 至る所に武器が立てかけてある。木材でできた廊下の突き当たりだ。

 

 船室についてある小窓から中を覗くと、クラスメイトの木村だった。

 よく一緒に昼飯を食っていた。


「うおっ! やった!! ここにいたーー!!」

「誰だ! お、お前は! 眼帯してるけど?! ひょっとして風ノ助か?」


 船室には木村一人だったが、俺はホッとした。


「他のクラスのみんなは?」

「ああ、地下の蔵にみんないる。無事だけどなあ。腹減って腹減って……。俺だけこの部屋に忍び込んだら出られなくなってな」

「ふーん……。良かったぜ! よし、仙台城でご馳走を振る舞ってやる!!」


 俺は木村と再び廊下を歩いた。


 不思議と海賊たちには出くわさない。


「風ノ助……。こっちだ」


 廊下から階段を降りた。

 

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