第52話
「あー、早く帰りてえなー。ほんとにこんなところに……があるのかい?」
「ああ、それは間違いねえ」
「それにしても、飯だの。解放しろだの。風呂だの。ギャーギャーうるさい人質たちの声は聞こえねえし、静かなもんだなあ」
「ああ、静かなもんだなあ」
「俺はもう寝るぜ……腹いっぱいだし、眠てえぜ」
俺は聞き耳に更に力を入れた。
クラスのみんなは一体どこにいるんだ?
ゴォ――……。ゴォ――……。ゴォ―――。
野郎どもの一人のいびきが聞こえる。だが、微かに……。
「でも、もうすぐ本船でも静かになるなあ。ありゃ食いすぎだなあ。食料もなくなってしまうからなあ」
「ああ、食いすぎだなあ。それにもう、人質もいらないからなあ」
「う?! ……ん」
俺は座敷牢の壁に耳を押し込んで、次の言葉を待った。
「すでに潜伏してある奴が今頃……なあ。だから、本船は今は太平洋の中央の空間へ向かって……天使さまのお力を……」
「もうすぐか……なら、ここから出たら早速……」
俺は見張りについた家来の一人の小耳に今聞いたことを話し。すぐさま座敷牢から出してもらった。
本丸を出ると、風を呼んで太平洋に向かった。
「待ってろよーー! 今行くぜーーー!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます