第51話
「だーーー! 立夏ちゃん! 俺は頭が混乱していてたんだーーー!! すっきりするため寝息でも聞いてみようかと思っただけなんだ―――!! 決してやましいことじゃないんだーーーー!!」
俺は全力で頭を下げていると、立夏ちゃんの叫びで、家来たちが抜刀して城内をドタドタと走り回っていた。
「であえーーー! であえーーー!」
「であえーーー!」
開けはなたれた襖の向こうには、家来たちが蜂の巣をつついたように散り散りに走り回っている。
あるものは廊下の奥へ。あるものは階下へと勢いよく走って行った。あるものは廊下の端の書庫へ。そして、やっと三十人くらいがこの部屋へと乱入してきてしまった。
「待て待て待てーーーー!! 俺は……無実だ! 正気だ! 何もしてないぞーー!!」
家来たちは俺は捕縛すると、座敷牢へとズルズル引っ張ていった。
………
「そんなー! 立夏ちゃんー! 豊子ちゃんー!」
家来たちによって、座敷牢へと放り込まれた俺はありったけの声で叫んでいた。
黴臭く湿気の多い座敷牢は、薄暗いしせせこましくてそれでいて寒かった。
見張りについた家来の一人が、ケラケラと笑いながら。
「政宗さまにも弱点がおありだ。それも、なんとも可愛いらしい弱点ではありませんか」
「俺、いつまでここに入っているの?」
「そうですねえ。明日には解放されますよ」
「どうして、俺は捕まったんだ? 当主なのに?」
「であえーー、であえーー、は、あれは合図のようなものです。であえと言われれば侍は何でもしないといけませんので」
「ふーん……あ! 悪いが。ここから少し離れていてくれないか。なるべく平然としていてくれ、何もしないから」
「御意に」
俺は二つ隣の座敷牢から野郎どもの話し声が風に乗って聞こえていた。
聞き耳を立ててみると、どうやら、秘密裏になにやら良からぬことをしようとしていたようだ。それに、クラスのみんなの情報が入るかも知れない。
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