第50話

「うおおおおおーーーー!!」


 俺は混乱した頭を抱えながら城内を走り回った。廊下から階段。階段から廊下。通り過ぎようとしているお侍が皆、俺にお辞儀をしていたけど、今はそれどころじゃねーー!!


「楠田先生が俺のおじいちゃんーーー!! 確かに似ていたけど! とてもじゃないが!! 信じられん!!」


 叫びながら走っていると、立夏ちゃんと豊子ちゃんの竹や梅を模した襖の部屋の前だった。


「う、う、うーーー」


 そうだ! 立夏ちゃんの可愛い寝顔を見よう……あるいは、寝息でも聞こう……。その方がきっと混乱した頭でも落ち着けるはずだ!


 俺は部屋への襖をそっと開けると、立夏ちゃんと豊子ちゃんは寝間着姿で布団の上で会議中だった……。


「なーに、風ノ助くん?」


 こちらを睨んだ豊子ちゃんの棘のある声。


「会議中に!! みんな心配しているのに!!」


 立夏ちゃんが激怒した。


「いや、これは! だーー! 決して夜這いとかじゃないんだーー!! お休みなさい!!」


 俺は回れ右した。


「もう……! すーーーっ……」

 立夏ちゃんが大きく息を吸い込んで。

「殿が乱心召されたーーー!! であえーー! であえーーー!」

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