第49話

…………


「おらおらー、食わなきゃ吐けー。もっと更に盛るぞー」


 しゃもじ片手の恐ろしい顔の煤野沢の迫力で、野郎どもは仕方なく食べていた。

 煤野沢の傍のおひつにはざっと30人分のご飯があった。


「美味いけど! もう無理でやす――!! わかった! 話す! 話すよ!」

「腹いっぱいだーーーー!」

「うっぷ」


「煤野沢……そのご飯……俺にもくれ……」

「私にも」

「おう!」


 俺と楠田先生と煤野沢は、悶絶している野郎どもと飯を食いながら情報を聞き出した。


…………


「座敷牢の野郎どもの話によると、どうやらここ黄金の国ジパングにとある財宝を探しにきたんだそうだね。それはこの奥州の伊達政宗の城にあるみたいなんだ。後、やっぱり金銀財宝がこの国にはあって、黄金でできているという逸話を信じていたからのようだ。クラスのみんなは、浜辺で拾ったからそのまま誘拐したと言っていたよ。でも、気掛かりなのは、どうやって太平洋を渡って来たかということだね。それがよくわからないが……空間を渡ったって言っていた……あと、野郎どもの一人が言ったんだ……天使に出会ったんだって……」

 

「天使?」

「先生。天使ってあの翼の生えた奴?」


 今、俺と煤野沢は、家来たちと難しい顔をして大広間にいる。

 立夏ちゃんと豊子ちゃんはもう就寝していた。

 海賊たちは、皆家来たちの働きによって海へと逃げて帰り、今は静かな夜だった。

 突然、廊下の外からは稲光がした。

 まるで、俺には不吉なことの前兆のようにも思えた。


「ああ、そうじゃないみたいだ。翼があって光っているけどね」

「へ?」


 楠田先生はその天使に出会っているみたいなことを言った。

 煤野沢は学ランを直して、聞き耳を立てているけど、いつにも増してヘラヘラとしている。

 家来たちは「ほうほう」と頷いているけど、みんなきっと天使なんて知らないはずだ。


「うーん。もう話しても良いかな。ぼくは君の祖父なんだ。この時代からさる三百年も生きていたんだよ。風ノ助くん。敵はめっぽう強いんだ。そう……この時代でクラスのみんなを助けてから天使と戦うんだ。まずはベンジャミン・ホーニゴールドを倒してからだね」

「へ? ふえ? ええええええーーー?!」


 俺は……俺は……何故……今まで気がつかなかったーーーー!!

 ていうか、そういえば、おじいちゃんは楠田先生の老けた顔そっくりじゃないかーーーー!!

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