第47話

  左腕の軋むような痛みも忘れて不思議に思った。

「う、う、うーーー」

 あ、そういえば俺は生まれも育ちも○県○市で、仙台の近くに住んでいるんだった。そこだけがこの世界の土地と繋がっているんだな。

 はて? 伊達政宗……? 伊達政宗?


 その時、遥か陸の方からチカチカと明滅する光が俺の顔に当たっているのに気が付いた。

 うん? モールス信号だ。

 何々……?! 至急。城に戻れだって?!


 俺は松島湾から暴風によって全速力でお城まですっ飛んでいった。

 なんだか全身から冷や汗がでる?!


 一体、何が起きたんだーー?!


 まさか……立夏ちゃんと豊子ちゃんの身に何かが?!

 

 楠田先生と煤野沢。家来たちがいるから平気だと思ったのに!!


 猛スピードで飛んでいると海風が肌に痛い。

 物凄い速さで俺はお城の本丸を目指した。

 カモメが俺の周りから遠ざかり興味本位で眺めている。


 下方の海賊船はまだわんさかあるけど、俺とお城への砲撃は止まなかった。

 

 透き通った青空が所々黒煙が漂っている。


 お城の本丸までたどり着くと、俺は真っ先に立夏ちゃんと豊子ちゃんの元へと駆け出した。居場所がわからないので、やたらめっぽうに本丸の各部屋を探していった。

 

「立夏ちゃん! 豊子ちゃん!」


 大広間の襖を開けた。


「風ノ助くん! ここにいたんだ! 早くこっちへ来てくれ!」


 大広間まで勢い良く走って来たのは、血相変えた楠田先生だった。

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