第35話

  ここで、台風でも起こせたら、形勢逆転なんだけどなー。


「野郎どもー!! 城の者を!! 全て追い出せー!!」

「アイアイサー! お宝! お宝!」


 うじゃうじゃといる野郎どもは、どうやらこの城を乗っ取る気だった。


「これは、旗色悪いねー」

「マジか……よ……」


 楠田先生と煤野沢の言う通りに、本丸の至る所に鉄砲や大砲の玉がぶち込まれている。火を消すのも大変だ! ここで本丸を乗っ取られたら全て終わりだ!


「ここで台風でも起こせたらねー」

「ああ。台風でもなー。なあー、風ノ助。そう思わないか?」

「う……うー……うー……」


 楠田先生と煤野沢が嫌味たっぷりの顔で、俺にじりじりと寄って来た。

 ここは松の木が突き出たいつもの廊下だったが、今は家来たちと野郎どもの怒号が聞こえている。


 俺も立夏ちゃんと豊子ちゃんのためとクラスのみんなのために、必死に考えているんだ!

 けど、何も思いつかない!

 とりあえず、走れば風が起きるから、走り回ってみようかな?

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