第34話

 俺は試しに廊下を走ってみた。

「風よ!」

 足に心地よい風がまとまりついた。

 次第にビュウビュウとした風が俺と共に走った。


「やったぞ! 思い出した!」


 でも、どうやって台風を起こせるんだ?!



………



 次の日の早朝。


 布団から起きたら内堀まで海賊たちが攻めてきていると重鎮が言った。

 ここ本丸を落とす城攻めのようだとも言い。皆、殺気だっていた。


「ハハッ。向こうもけっこう作戦を練っているみたいだね」

「楠田先生……。さすがに呑気過ぎますよ」


 俺は廊下で三人と望遠鏡で下方を見ている。昨日から風を起こせるけれど、どうやったら台風を起こせるのか、寝るのも惜しんで布団の中で考えていた。けれども、何も思いつかなかった。

 今は陸では、東側は広瀬川。西側は御裏林おうらばやし。南側は竜ノ口渓谷たつのくちけいこくで家来たち御家人たち、鉄砲騎馬隊が海賊たちと戦っていた。

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