第22話
「そいつらは、放っておいて! 船を! 面舵いっぱいー!」
黒髭たちが船の進路を思いっきり変える。帆を立てるものや、錨を上げるものもわんさかでて、船は最大出力で前進していった。
楠田先生が、すぐに甲板の端へと野郎どもを斬り伏せながら駆け寄り、前方に大型の海賊船とその周りに浮遊している無数の小さ目の海賊船を見つけて叫んだ。
「いかん! 風ノ助くん! 煤野沢くん! すぐに本丸へと戻るんだ! 敵が多すぎるんだ!」
「先生ー!! それじゃあ、みんなはー?! 俺は皆殺しの覚悟だー!!」
俺はクラスメイトのため特攻覚悟で甲板の端に片足を乗っけて刀を振り回していたが、楠田先生と煤野沢さえも俺を引き下ろした。
野郎どもは俺たちを無視して船を動かすために躍起になっていた。
「おい、風ノ助。お前が一人で死にたいのなら放っておくけどな……ここは逃げたほうがいいみたいだぜ! ダチの方は大丈夫だと信じるんだ」
「う……」
俺はそれを聞いて唸った。
煤野沢が俺の肩を強引に引っ張りだし、甲板から遥か下方の海へと身を投じる。家来たちも楠田先生も海へと次々と落ちていった。海へと着水すると、みんなで全速力で松島湾から本丸まで泳ぐことになった。
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