第19話
俺はありったけの声で叫んで目を瞑った。
海賊の頭さえ倒せばこの戦いはすぐに終わると思っていたのが、ひどい誤算だったみたいだ。
大きな銃声と共に、瞬間。
カキ―ンという金属と金属のぶつかる音がした。
「風ノ助くん。無事か?!」
その声は楠田先生だった。
俺は目をゆっくと開けた。
身体は別に怪我していないみたいだった。
「野郎ー! 弾丸を刀ではじきやがった!」
「へ?」
俺は楠田先生の方を見てみると、先生は次々と海賊の頭の撃つピストルの弾丸を長刀で跳ね返していた。
「な! 簡単だろ! 風ノ助くん!」
「先生! 無理です!」
海賊の頭のピストルは弾切れになった。
「よっしゃー! いざ、参る!」
俺は甲板の床を蹴って、海賊の頭の懐へと飛び込んだ。
だが……。
「後ろががら空きだよ」
海賊の頭に向かって誰かが斬り込んだ。
煤野沢だ。
海賊の頭は寸んでで躱し、サーベルを振り回した。
「オオゥー―!! 命のいらない奴から来い! がはははは! 全員底なしの海へ沈めてやる!」
海賊の頭が本気を出した。
俺は背に刀身全体を回し、幾度もサーベルを躱し、間合いを徐々に詰めていき。
「トウッ!」
即座に横飛びして、海賊の頭の胸目掛けて水平の居合いを放った。
ザン! という派手な音が辺りに響いた。
海賊の頭の胴を刀がかっさばいた音だった。
青い顔で倒れた海賊の頭は、死に際に白い血を吐きながら不思議なことを言った。
「絶対に貴様とは、地獄で……また……会うだろう……」
「?」
俺は刀を振り回して、ポーズを決めていると。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます