第16話

「うーん……」


 チュンチュンと鳴く小鳥の囀りを無視して、俺は寝返りを打つ。


「後、5分……いや、10分……絶対に……」


 片目に光が照射されているのがわかる。


 もう、朝か。


 まだ寝ているぞ。

 誰がなんて言おうと……! 


「政宗さまー! もう朝餉の時間はとっくに過ぎておりますぞー!」


 重臣の声に俺は勢い良く起き出した。

 布団を蹴飛ばして、階下へと廊下を全速力で駆け抜ける。

 なにやら辺りの家来たちは、廊下の端で俺に平伏しているが、無視だ無視。

 それより、俺には朝ごはんのほうが優先だ!


 あれ? ここはどこだっけ? あ、そうだ! 俺は伊達政宗になっていたんだ! 


「風ノ助くん。廊下は走っちゃいけないって、いつも言っているだろ!」


 階下の襖を開けたのは楠田先生だ。

 もう、すでに朝ごはんの良い匂いがする。

 俺はその部屋へと飛び込んだ。

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