第15話

「昨日、風ノ助くんの家来から大きな火事のことを聞いたんだ……。それは1661年2月19日に起きた。大小名屋敷70軒、町家42町、787軒を焼いた。万治4年の大火だ」


 楠田先生が険しい表情で話しながら、襖でチョークで書いていく。

 外の雨風が激しくなった。

 ビュウビュウと鳴る風に松の枝が激しく踊っている。


 俺はなんでこんなところにいるんだろう。

 今まで学校生活は楽しかったのに……。


「先生……眠いです」


 立夏ちゃんが緊張感皆無なことを言った。


「ああ。そういえば、もう深夜の3時頃だね。仕方ないかな。明日、みんなを助けようよ」


 …………


 俺は今まで片目が見えない苦労も忘れて走り回っていた為か、この世界へ来た時の布団の中でぐっすりと眠った。そうだ! 昨日の夜のことを楠田先生へ聞けばよかったんだ! 


 ああ、明日はクラスのみんなや俺はどうなるんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る