第12話 三つの時代

 けれども、この時代の……胸騒ぎは……海賊のせいじゃない!

 もっと、根本的な天地がひっくり返るかのような……?


「むむむ、野郎どもー!! お宝の方が先じゃー!! ガキは放っておいていい! お宝は目の前じゃー!!」


 海賊の頭は、野郎どもを連れ西の丸(お城)へと走り出した!


「待てー! 待て待て待てー!」


 それを俺と家来が追いかけ回す。


 追いついた俺は、野郎どもの一人の腰の辺りをを刀の切っ先を横にして、横薙ぎではなくて横に押し当て刀身をスッと引いた。


 多量の白い血液が辺りへ飛び散る。


 続いて、追いかけ回しながら、野郎どもの頭を勢い良くジャンプして刀で叩き割っていく。


 超強力な兜割りだ。


 これが、おじいちゃんから直伝の剣術だ。

 俺のおじいちゃんは剣術の師範をしている。

 我が家では剣術を家族一丸となって学ぶ習慣があるんだ。


「このやろー! こいつでたらめに強えーーぞ! こうなりゃ、お頭! 出番ですぜ!  お願いしやす!」


 野郎どもの叫びに海賊の頭が本丸からこっちへ向きを変えて走って来た。


「ぐわははは! わかったわ! その首。今度は必ず取ったぞー!! 野郎ども! あの城を襲撃していろ!」


 キーンッ!

 刀とサーベルがぶつかり合う。

 俺の刀と海賊の頭のサーベルから火花が飛び散った。


 つ……強い?!


「だけど、負けるものかー!! クラスのみんなを返せーーー!!」


 こうなりゃ絶対、本気を出してやる!!

 俺は剣を真っ正面に構えて目を瞑った。そして、体中の力を抜いて呼吸を整えた。辺りの音が鼓膜にリズムとなって入って来る。


 さあ、いくぞ!!


「う!」


 だが、俺は途端に顔をしかめた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る