第11話
「む……? お待ち下さい船長! おい、独眼の男! それなら私がお相手しよう!」
「待て、お前副官のくせして俺を下がらせるのか……?」
ひょろひょろとした優男がでてきた。だが、氷のように冷たい顔の副官と呼ばれた男は、海賊の頭を強引に脇にどかし、サーベルを抜いて前に出てきた。途端に、後続の海賊たちが、何やら震えながらひそひそと話し出した。
「いいぜー! それなら! こっちも本気だぞー……ハッ! てっ! ええっ??」
型から居合いを放つと、副官と呼ばれた男は、俺の一太刀を寸でのところで躱してしまった。
「独眼の男よ! 今度はこっちの番だ!」
副官と呼ばれた男がサーベルを抜く。
その刹那。
「待った!! 風ノ助くん!」
後ろから楠田先生の声が聞こえた。
「ここは私に任せて!」
俺と副官と呼ばれた男の間に、割って入ると楠田先生は長刀を抜いた。
あのデブの海賊の頭よりも強いのか?!
それでも、俺にとっては楽勝のはずだ。
だけど、相対している楠田先生の零した汗は、ひょっとしたら冷や汗だったのだろうか?
俺は殺気立って、抜刀している家来のものたちに首を向けて、「後ろを向いて、撤退していてくれ! 楠田先生なら大丈夫だ!」
と、叫んだ。
そして、俺自身も後退した。
けれども、この時代の……胸騒ぎは……海賊のせいなんかじゃない!
もっと、根本的な天地がひっくり返るかのような……?
さらわれた同級生たちは一体?
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