第9話

「そんなに嫌がんなよなあ。俺は気が向いたことしかしないんだぜ。気が向かないことはスルーするだけだぜ。俺は寝ているから、何かあったら起こしてくれよな。じゃ、後よろしくな」


 煤野沢は確か情に弱いっていわれているんだ。

 案外いい奴なのかも知れないが、俺の中では危ない奴の中でダントツ一位だ。大広間へ戻る奴の後ろ姿は、よれよれの学ランのせいで何故か疲れているように見えた。


「風ノ助くん。お城の裏の蔵が壊れたって。今燃えているそうよ」


 今度は立夏ちゃんが廊下へ歩いて来た。

 いつ見ても可愛いんだけど呑気な人なんだな……。

 

 このままではお城が駄目になる! 

 俺にはおじいちゃん譲りの剣術があるし!

 もうやるしかない! 


 いざ参る!


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