#01 緊急発進

 滑走路の路面に積もっていたすなほこりが舞い上がり幻想的な風景を生み出す中、F-15Aは今か今かと蒼空を見つめているように思えた。

 エンジン回転率が上がって行く中、操縦桿を握りフラップやラダーに異常が無いかなどを肉眼で確認し計器類を目で追いながら峰山管制塔からの指示を待って居た。

「・・・」

『こちら管制塔、発進を許可する。滑走路ランウェイ上に障害物無し』

「――了解。クリアード・フォー・テイクオフ!」

 A/B《アフター・バーナー》で加速して僅か10秒で陸を離れると「ランディング・ギアを収納する、ガンスピンアップ。油圧系統に警報音なし」と淡々と告げていく中、出遅れたとばかりに浦邉うらべの愛機であるF-16Aも離陸して蒼空に上がって来た。

 ちなみに、峰山みねやまの愛機はF-35Aだ。何故って?蒼空を一望できる機体だからだ。


    ☆  ☆  ☆  


 最盛期の第685戦闘機隊は120名を誇る空戦のプロ集団が居たが、今となっては過去の栄光に過ぎない。

 蒼空に上がったF-15Aは得意の加速力と上昇力で急上昇をした後、簡単に敵機となった友軍機の上を抑えてしまった。

〈――気を付けろ、あの基地にはイーグルがいるンだぞ!〉

〈ああ。俺たちの味方が政府の敵になっただけでも、心苦しいのになぁ〉

 直後、敵機友軍機側の無線が雑音交じりで入って来たことを浦邉に連絡した。

「ファルコン、こちらイーグル。敵機の無線を傍受ぼうじゅ、暇らしい」

『油断しているのか、まったく・・・これだから経験ない新人共だな』

「ああ、そうだな。――これより、交戦に入る」

『こちら峰山管制塔、攻撃を許可する。ウェポンズ・フリー』

 スロットルレバーを奥に勢いよく押して加速すると同時に超小旋回IGターンを繰り出して後方から接近した。

『イーグル、ガン射程内』

「FOX1!」

 ヴァヴヴヴヴヴヴウ‼‼と音が鳴ると同時に、F-14の両翼に次々と穴が開いて行った。

〈クソッ、やられた!〉

〈何処からだ⁉あ、うえ――ッ‼〉

〈シャーク1より管制塔!シャーク2が被弾‼撃墜された‼〉

 傍受ぼうじゅしている無線からは悲鳴や混乱の声が聞こえてきていたが、先に俺達の基地を敵判定にした政府に文句を言いやがれ!

『イーグルが敵2機を撃墜!』

『ヒャッフォー、やるな』

「ファルコン。迎撃は任せた俺は、近くを飛行しているだろう早期警戒管制機E-2Cを墜としに行く」

『ウィルコ。行ってこい』

「ああ」

 右に素早く旋回すると同時にフレアを焚いて、ドン‼という衝撃波ソニックブームを出しながら高速飛行に移った。







捕捉事項


F-15:イーグル(Eagle)

F-16:ファイティングファルコン(Fighting Falcon)

F-35:ライトニングⅡ(Lightning II)


A:単座/陸軍・空軍・海軍が使用

B:複座/陸軍・海軍・陸軍が使用

C:主に単座が多い/空軍限定

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

第685戦闘機隊が、異世界に転移したってよ! @12{アイニ} @savior1of2hero

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ