第685戦闘機隊が、異世界に転移したってよ!

@12{アイニ}

#00 第685戦闘機隊

 砂漠に広がるアスファルトの上を、簡易距離測定器メジャーを転がしながら俺は歩いていた。

 燦々さんさんと照り付ける太陽を浴びながら僅かな亀裂きれつをも見逃さない眼力めぢからで隅々まで見ながらだ。

『おい、もうすぐ友軍機が来るぞ。まだ、整備中か?』

 無線機から部下の声が聞こえて来た、こいつの名は浦邉うらべ西にしで俺は浅科あさしな空来そらだ。

「あと少しで終わる」

『ッははは!』

「何がおかしい?」

『いやぁ・・・、第685戦闘機隊の隊長は相変わらずの真面目だと思ってさ』

「・・・俺達は――」

『分かっているって。俺達は、政府から見放された戦闘機隊クレイジーファイターだろ?』

 ああ、そうだ。俺達、第685戦闘機隊は政府の御荷物だ。それは分かっている。だが、御荷物となった理由が砂漠に滑走路と俺達の基地があるという理不尽な理由だ。

 それに第685戦闘機隊の隊員は、なんとたったの3人だけ。それも、整備士兼操縦士が3人だけだ。

 格納庫に戻ってくると、峰山みねやま勝悟しょうごが慌ただしく駆け寄って来た。悪い意味の朗報か?

「た、大変だ!」

「ん?どうした?」

「たった今、こちらに向かって来ている友軍機からレーダー照射を受けた」

「よくある――・・・は?まさか・・・呼びかけろ!」

「あ、ああ!」

 ヘッドフォンを手に取り、峰山は〈こちらに接近中の友軍機、こちらは第685戦闘機隊航空基地だ。レーダー照射を受けている、こちらに攻撃の意思はない――繰り返す、攻撃の意思はない!〉と呼びかけたが返事が無かった。

〈・・・〉

「おいおい、マジかよ」

「はぁ・・・。緊急スクランブルか?」

〈――第685戦闘機隊に告ぐ、貴君らは政府から破壊せよとの通知が出ている。よって、攻撃を始める〉

 その時、接近中の友軍機から通信に対する返事が返って来た。

「嘘だろ・・・?」

「峰山。俺は蒼空に上がるぞ」

「ああ、今から友軍ではなく敵機だ」

 その後、隣の格納庫に行き整備中だったF-15Aの整備を速やかに終わらせると「こちらイーグル、緊急発進する」と峰山に連絡を入れた。

『こちら管制塔、緊急発進ホットスクランブルを発令。滑走路にタキシングを許可する』

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