第4話 国民80歳安楽死計画

あれから何十年経っただろうか・・・


私は79歳になった。


いや、もうすぐ80歳だ。


天皇を辞めたいと願った25歳の夜


あれからずっと辞めることができなかった。


この55年の間、国はさらに疲弊していた。


新型のウイルスがまん延し、経済は衰退、国の借金は増え続けた


少子高齢化社会はさらに進み、医療技術の発展でムダに年寄が生き続けた



若者は年金など社会制度を支えるため、子供を作る余裕がなかった。


年寄はさんざんすすってきた甘い汁をさらにすすりはじめた。


年寄は大きな声で自分たちの利権について議会にかけあう。


権利や言葉を持たない若者が我慢をする。




この55年間、私は何もできなかった


議会が決めたことを承認するしかできなかったのだ。




そこにもう何回変わったかもわからない首相がやってきた


首相『陛下。お話があります』


天皇『なんだ?』


首相『死んでもらえませんか』




・・・



この言葉は、私がずっと待ち望んでいたものだった


首相は私がどのように死ぬべきかを説明してくれた。


でも、聞かなくても分かっていた。


なぜなら、それは私が25歳の時からずっと考えていたことだからだ。


私は、天皇を辞めたいと思っていた。


その為に50年以上も月日をかけた。


しかし、辞めれなかった。


ただ辞めるだけではなく、天皇制という歴史の遺物を消し去りたいと思っていたからだ。


だが、解決策が一つだけあった。


私が、天皇制と一緒に死を選ぶことだ。




私は宣言することにした。


この国に、完全なる寿命を設けることを宣言する。


80歳になると、全員死ぬことにする。


つまり、安楽死だ。


私も、一緒に死ぬ。


天皇自らが安楽死するとなれば国民も受け入れざるをえない。




少子高齢化



これが、日本にとってどれだけ重要な問題かを考え抜いた結果だった。



首相の力ではもう何もできない



だから、天皇の私自らが死ぬことを決意した。


首相はその最後の背中を押してくれたのだ。


首相の口から出たということは、議会や官僚もこれが最善だと思っていたということだろう。


天皇『心はすでに決まっている。明日にでも宣言をしよう』


こうして、日本国民1億2千万人へ寿命制度を宣言することとなった。

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