異世界転生したのは隣の人でした。自分はおこぼれをもらって輪廻転生らしいです。
光合成をするミトコンドリア
第1話 選ばれたのは隣の人でした。
◆プロローグ
キキッーーーー、ドンッ
あぁ、俺はもう死ぬのか。
国家試験に落ちた浪人生の最後がこんな死に方なんてあんまりじゃないか。
もっと親孝行しておくんだった、もっと友達と遊んでおくべきだった、もっと…もっと……。
「は〜い、みなさ〜ん。こんにちは〜」
とても心地よい夢をみていた気がしたが、うるさい声のせいで急速に意識が覚醒していった。
安眠を妨害されたので、文句の一つでも言ってやろうと声の方を見ようとすると、目の前にはさっきまでの苛立ちを忘れてしまうほどの真っ白で綺麗な世界が広がっていた。
数十分ほど、ただ真っ白な世界を眺めていると段々と冷静さを取り戻し、ある事実を思い出す。
ん?…確か俺は、死んだはずでは?
記憶は曖昧だが、高校生カップルを助けてトラックにはねられた気がする。
俺は生きているのだろうか?
高校生カップルは助けられたのだろうか?
そんな考えを見透かしたかのように、例のうるさい声が言った。
「みなさん、この度は残念でした〜。死にました〜。どんまいでした〜」
相変わらずうるさい、そしてうざい。
うるさうざい声の主をみると、そこには何やら黒いモヤのような輪郭でヒトガタになっている白いヤツがいた。
そして、白いヤツはさらに続ける。
「この度、死んでしまった魂は589個分で〜す。
みなさんには輪廻転生とか異世界転生とかしてもらいま〜す」
ん?魂?
白いヤツに言われて初めて気がついたが、自分の周りには青白いオーブ?人魂?の様なものがプカプカと浮いていた。
この状況は…もしや⁉︎
最近流行りの異世界転生という奴か⁉︎
…って、さっき白いヤツも異世界転生って言ってたし、これは期待していいのかも知れないぞ!
興奮を共有しようと隣の人…というか魂に話しかけようとするが上手く声が出せない。
あ、魂だから声が出せないのか…と残念に思いつつも、これから自分がもらえるチート能力に心を躍らせてドキドキと静かに待つ。
「は〜い、落ち着いた様なので〜順番に処理をしていきたいと思いま〜す」
その言葉を合図に魂達が綺麗に一列に並ぶ。
あれから何十分も待った。
待ったといっても、この白い世界には時間という概念が存在しないっぽいので、数分かもしれないし数時間かもしれないが、とにかく自分の順番を待った。
そしてついに前にいる魂は2個だ!
ワクワクしすぎて某戦闘民族の様なセリフをはきそうになるのをグッと堪えて様子をみる。
「んん〜、君達はカップルだったのかな〜?
ふむふむ、まだ若いのにトラックに轢かれて死んだのか〜」
どこかで聞いた様な話だな?と思いつつもチート能力で無双する夢想によりかき消える。
「よ〜し、君達には〜この特別なチートをあ〜げる♪
ん〜、そうだな〜君達には剣と魔法の世界に行ってもらお〜。それでは行ってらっしゃ〜い」
おぉ!ついに俺の順番が来た!
しかも、前のやつは剣と魔法の世界にチート持ちで転生したぞ⁉︎
これは俺もイケる!
「あ、やっべ〜彼に"頑丈"のスキル渡し忘れた〜まぁ、いっか〜次のこの魂に入れちゃお〜」
ん?今適当なこと言わなかったか?
「あれ〜、聞こえちゃった〜?」
おい、ふざけるな!もっとまともなチートをくれよ!そんな余り物じゃ納得できねーよ!
「あ〜うるさいで〜す。もう決めたことなんで〜す」
なんで声が出せないのに考えてること伝わってるんだよ。…じゃなくて余り物以外もくれよ。
「私には声が聞こえるんで〜す。てか、生意気だよ〜?」
おい、神様がそんな雑でいいのかよ⁉︎
「神様じゃなくてバイトなのでいいんで〜す」
…え、バイトなの?神様ってバイトだったのフリーター?
「違います〜、神様じゃなくてバイトです〜。フリーターとか言うやつは嫌いなので〜剣だけの世界に行きやがれ〜えいっ!」
え、ちょ…待って…。
「あれ〜、あいつ魂の色おかしくなかった〜?
まぁ、いっか〜次の魂の方〜」
◆グレイス家編
オギャーーーーー。
僕はとある田舎の男爵家に産まれた。
⭐︎コメント
設定やら何やらに手こずりそうで、次の話の投稿が遅れそうです。
補足:輪廻転生は記憶がリセットされて生まれ変わるという認識です。異世界転生は記憶を保持したまま生まれ変わると考えて書いてます。
異世界転生したのは隣の人でした。自分はおこぼれをもらって輪廻転生らしいです。 光合成をするミトコンドリア @koou5
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