Epi52 耐え難きを耐えきれず
三人で寝る、は却下した。
喚く葉月だが俺がふたりから奪われかねない。睡眠時は完全に無防備になるからな。諸岡さんの時は自重してた葉月だが、花奈さんだと歯止めが利かなくなりそうだし。
怖さのレベルが違うんだろう。諸岡さんには幼い頃から躾けられてきた。幼少期のトラウマもあるだろうし、しっかり恐怖を植え付けてる。けど、後から来た花奈さんだと、それらが無い。だから甘く見てる部分はあると思う。
だが俺がきっぱり突っ撥ねたことで、花奈さんの機嫌がいいんだよな。
そしてジャグジーに四人で入るのだが。美桜ちゃんが葉月を見て、さらに花奈さんを見てすごく落ち込んでる。
「おふたりとも、見事なスタイルをお持ちなのですね」
「うふふちゃんがそこで気落ちしなくても」
「ですが、殿方好みのスタイルなのでは?」
「まあ、直輝は根っこがスケベだから、あたしとか中条が好みだと思うけど」
スケベなのは認めよう。事実だから。だがな、美桜ちゃんも悪くないんだよ。乳のでかさや揺れる尻や、ウェストのくびれだけが美の基準じゃない。所作もまた大事な要素なんだからな。
その点では諸岡さんだって、美しい所作があり魅力がある。花奈さんも同様。
葉月は品が無さ過ぎる。いくら顔やスタイルが良くてもな。
「美桜ちゃん。俺の価値感でしか無いけど、所作の良さ、つまりは品性を感じさせる美桜ちゃんは、それだけで充分魅力溢れる人だと思う」
俺の言葉に表情が明るくなってる。
「あの、そのお言葉だけで嬉しいです」
これだよ。お嬢様ってのはこうでなければ。葉月は品性下劣だからなあ。金が無ければ俺と同じ立ち位置になるぞ。
「あたしも品はあるんだよ」
「どこに? 品性下劣が裸で闊歩してるぞ。服すら纏わないし」
「これは! 直輝だから全部曝け出してるだけ。他の人の前じゃ、素晴らしいって言われてるんだから」
「そうですね。確かに表の顔は申し分ありません」
外面がいくら良くてもなあ。根っこが変態だし。
「変態」
「変態じゃない。直輝に対する情熱の証」
「行き過ぎだっての」
「行き過ぎじゃない。それだけ愛してるんだから」
まあ、そういうことにしておこう。
泡がぶくぶく。張り艶抜群の物体がふたつ、浮いてゆらゆら。大きく撓む張りのある物体がふたつ。浮いてゆらゆら。張りと艶はあるんだろう。浮かずゆらゆらせず。控えめと言うんだろう。性格も同様控えめでお淑やかなはずだった。
「あのさあ」
「愛でてもいいと思う」
だからって俺の顔の前に美桜ちゃんの茂みが。
毛を見ても興奮はしないぞ。その中身には興味関心が絶大だけど。とは言え、俺の股間はすでに爆発寸前だ。目の前に複数の果実。これに耐えなければならないとは。どんな苦行も真っ青だな。のぼせるどころじゃない。噴火するぞ。
「お嬢様。そのようなことは」
「いいじゃん。うふふちゃんも望んでるし」
「そうではありません。お預かりしているのです」
「堅いなあ。硬い奴を何度も入れてる癖に」
それとこれとは別だとか言ってる。俺と花奈さんの行為と、美桜ちゃんの丸出しがどう繋がるのかって話しだ。
でだよ、誰? 俺のを握ってるのは? ぎこちないから、もしかして。
「あの、美桜ちゃん?」
「ご迷惑でしたか?」
「いや、そうじゃなくて」
「でしたら感触を少し」
ヤバい。限界突破。外に!
「あ、直輝が出てる」
「直輝さん。耐え切れなかったんですね」
「勢いがすごいです」
死ぬほど恥ずかしい。三人に見られながらだよ? 穴があったら入れたい、じゃなくて入りたい。花奈さんのがいいけど。ってちっがーう!
俺もすっかり葉月に毒された。ここまで下品な奴になるとは。
ジャグジーから上がると火照って疲れた体を癒す。普通、風呂って癒しの場だよなあ。なぜか俺の場合は苦行になってる。
その夜、喚き散らす葉月を他所に、俺はひとり部屋に籠った。精魂尽きたからな。
照明を落とし暗い中、ドアが開いた。まさか葉月が夜這いしてきたのか?
「直輝さん」
「え?」
「少しだけ相手してください」
大歓迎だ! 花奈さんが来てくれたよ。
もそもそとベッドに潜り込むと、まあしっかり楽しんだ。こういう夜這いは大歓迎だな。葉月はアウトだけど。
「明日は私がすべてやっておきますが、直輝さんはお嬢様に食われないよう、十分注意してくださいね」
「抗ってみせますよ」
「期待しています。明日も」
ぶっ飛びそうだ。明日も花奈さんと。
事が済み、話も終わると、そっと部屋を出て行く花奈さんだった。
朝になると、なんだこれ?
「えーっと。美桜ちゃん?」
全裸の美桜ちゃんが居る。俺、もしかして繋がっちゃった?
でも、美桜ちゃんは処女。だったら、と思って探るとアレは染みてない。つまり無実。ついでにあるかないかも確認と思ったが、そこまでやるとただの変態。
「美桜ちゃん」
「あ、向後さん。おはようございます」
「えっと、なんで?」
「葉月ちゃんが、行ってきなさいと」
わからん。葉月も来るんじゃないのか? それがなんで?
理由は不明だが、美桜ちゃんだけが来て寝てた。手も出さなかったのか。まあその辺は葉月と違って節度はあるんだろう。
起きてそのまま部屋を出る美桜ちゃんが居る。いいのかそれ? すっかり葉月と同類の部分が。
意外と尻は揺れるんだな。
朝食時にこっそり葉月に尋ねると。
「入れちゃえって言ったんだけど」
「アホか」
「でもしなかったんでしょ」
「そうみたいだ」
まだ遠慮してるとか言ってる。遠慮じゃなくて淑女なら当然だ。葉月の物差しで測ると変態が基準になっちまう。
葉月曰く、今回の旅行で美桜ちゃんを丸裸、つまり被ってる仮面をすべて剥ぎ取って、素の美桜ちゃんを曝け出したいそうだ。間違いなく自分と同じはずだとか。
ねえぞ。ここまでど変態なのは葉月くらいだ。
天気がいい。外は暑すぎるくらい暑い。
「絶好のダイビング日和」
「そうだな。水温も高いし、これなら思う存分遊べる」
「どこからダイビングするのですか?」
入る場所を探し、島の反対側辺りがいいとなった。
そうなると着てた水着を全部剥ぐ葉月だ。それに続いて美桜ちゃんまでが。
「あのさ、水着」
「要らない」
「不要です」
どうすりゃいいんだよ。
シュノーケルとマスク、フィンを装備しても結局全裸。その格好でさっさと海に入ってるし。
「直輝飛び込め!」
アホか。浅い岩場で飛び込みしたら大怪我するっての。
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