Epi50 メイド交代でお嬢様来訪

 葉月の執拗な要望で、前回に続いて二度目の諸岡さんを交えての混浴。

 過去の暴露話もあり、少しだけ諸岡さんを身近に感じられた。裸の付き合いってのは、互いに隠すものが無くなるから、いいのかもしれない。

 ついでに葉月にの手により、俺の手は諸岡さんの柔すぎるブツを揉まされたが。

 平然としてるから、こっちが逆に恥ずかしい。


「もっと鍛錬が必要ですね」


 俺の手の感想はそれだったけど。女性を喜ばせたかったら、もっと相手のことを考えろと。俺と比較したら大旦那様の方が、心地良さを感じられたそうだ。旦那様は若すぎたのか、俺と同じレベルで鍛錬が必要だったそうだ。

 いやいや、そうじゃない。親子丼かよ。


「諸岡なら直輝としても問題無いよね」

「テクニックが不十分です。もっと磨きをかけてからにしてください」

「直輝じゃ満足しないんだって」


 なんか男としての自信が。

 でもさ、経験で大きく上回る諸岡さん相手じゃ、確かに若造如き太刀打ちできるわけ無いよな。って言うか、そもそも今の諸岡さんじゃ、元気になりきれないぞ。年齢差は如何ともしがたい。

 葉月なら無条件で反応するけどなあ。


「仕込んで欲しいのであれば、仕込みますが私は厳しいですよ」

「あの、それは結構です」

「向上心に欠けていますね。中条も報われません」


 いや、そこで花奈さんを引き合いに出さなくても。俺より年上だし経験もあるんだろうし。どうしたって追い付くには時間も必要。

 でも、確かに喜ばせたいなら、俺が頑張らないとなあ。


 この時は思わなかったが、実は諸岡さんも口では厳しいことを言いつつ、意外に性欲旺盛な性格だったと。それと性に対して厳しいのかと思ったが、かなり緩い考えを持っているようだ。俺の相手が花奈さんであれば、別に何も言わないし、葉月だから厳しく接するだけのことだと。

 執事と言う立場を考えれば、当たり前と言えば当たり前か。

 それと「もし、テクニックを磨きたいのであれば、遠慮なく申し出なさい」と。きちんとまじめに手ほどきするそうだ。ただなあ、やっぱ年齢。なんて思ってたら「化粧次第で若く見せることは可能です」と言って、実際に化粧をして見せてくれた。


「十歳以上若く見える」

「すごい。諸岡がママより若く見える」

「これでも相手にできないと? 厚化粧すれば若く見えるわけではありません。ポイントを押さえなければ、ただのぬりかべですからね」


 いや、なんかいけそう。諸岡さんって、なんかいろんな意味ですごい。

 これ、知らない人が見たら騙される。


 諸岡さんの新たな一面を発見して、互いになんだか距離がかなり縮まった。


「向後さんには女性を惹き付ける魅力は確かにあります。ですが、如何せん頭の弱さと要領の悪さがあります。そこを改善すれば、いずれ頭角を現すでしょう」


 必要になったら申し出ろと。きちんと仕込むそうだ。その時は奥様も虜にできる紳士に育て上げるとも。これは花奈さんでもできないことだそうだ。若いから。

 それにしても、いや、奥様に手なんて出せるわけがない。旦那様に殺される。


「やっぱ、あたしの目に狂いは無かったんだ」

「お嬢様の目に狂いはありませんが、お嬢様と一緒では伸びません」

「なんで?」

「勢いだけで突っ走りすぎますから」


 物事は緩急織り交ぜて、時に焦らし、時に攻め時に引く。それらを巧みに組み合わせないと、すぐに倦怠期を迎えるだけだとか。

 さすがは年の功だろうか。いろいろ話を聞くと勉強になるなあ。


 そんな諸岡さんの一面を見て、そのすごさを肌で感じた四日間だった。


 五日目になると花奈さんが、美桜ちゃんを連れてくる日だ。

 到着予定時刻に船着き場で待つことに。諸岡さんは花奈さんが乗ってきた船で帰るそうだ。


「私は帰りますが、くれぐれも羽目を外さないように」

「心得ております」

「お嬢様もですよ。すぐ暴走するので」

「暴走じゃない。好きなだけだから」


 それでもだ、と。まだ高校生と言う身分。親の庇護下にあるということ。それらを踏まえた年齢に見合う行動をと、暫しの説教が続く。

 奥様が許可してると言っても、意に介さず葉月が耳を塞ぐのもお構いなし。その手を取って耳に痛い言葉を並べてた。

 涙目になる葉月だが、こんなことで自重するような葉月じゃない。どうせ居なくなれば羽目を外すんだろう。


 少しすると船が見えてきたが、まああれだ、贅を極めた一艘の船。俺たちが乗ってきた船より小ぶりだけど。

 諸岡さんは花奈さんが乗船してきた船で帰るそうだ。


 桟橋に接舷すると、美桜ちゃんの手を引き花奈さんが下船してくる。正確無比な接舷。微塵も狂いなくほんのわずかな隙間。操船技術の高さもあるとは。

 颯爽とした姿は惚れ惚れする。


「メイド長。お疲れ様でした。これより引き継ぎいたします」

「ご苦労様。それでは私は戻りますが、中条はお嬢様が羽目を外しすぎぬよう、しっかり管理監督するように」

「畏まりました」


 全員で諸岡さんを見送り、建物へと移動をする。


「では、楠瀬様。ご案内いたします」

「はい。よろしくお願いします」


 美桜ちゃん。俺を見て微笑んでるし。

 荷物は花奈さんから俺が受け取り建物へと運ぶ。


 室内に入ると「まずは旅の疲れを癒すのがよろしいでしょう」と、ソファに腰掛けるよう促し、自らは飲み物を用意するようだ。流れるような動作の美しさ。諸岡さんもすごいと思ったが、花奈さんもぜんぜん負けてないよな。さすがナンバーツー。

 ただ、下方面のテクニックは諸岡さんが凌駕するらしい。


「うふふちゃん。明日はシュノーケリングするから」

「海へ潜るのですね。楽しみです」

「全裸だよ」

「はい。もちろん。水着など無粋なものは用意しておりません」


 おいこら。全裸ダイブなんてしてて、誰かが来たらどうする?

 いきなりアホなことを言い出す葉月だ。すると花奈さんが「お召し物は必要でございます。最低限水着の着用はお願いいたします」だそうだ。

 水着はこんなこともあろうかと、美桜ちゃんの母親から預かってるとか。


「いいじゃん。どうせ人なんて来ないんだから」

「いいえ。はしたないにも程があります。ヌーディスト村ではありませんので」

「堅いなあ。直輝の硬いのはしっかり受け取ってる癖に」

「それとこれとは別です」


 葉月はアホだ。可愛いけど。

 今夜は繋がらせない、とする花奈さんと、どこ吹く風の葉月だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る