Epi49 メイド長の秘密のお風呂

 葉月と一緒に露天ジャグジー。

 泡がぶくぶく。浮いて揺れる双丘。実に……。


「いいんだよ好きにして」

「外から丸見えだし」

「誰も見てないし居ないってば」

「諸岡さんが居るぞ」


 え? とか言って辺りを見回してるけど、なんて言うかね、どこかでこっそり監視してそうで。


「居ないじゃん」

「そんな簡単に見つかると思うか? 相手は海千山千のメイド長だぞ」

「じゃあ、直輝のも見られてるね」


 そう。監視となれば俺のあられもない姿を。若いもんの股間は最高だ、とか思ったりしないのか。一応、歳は食っても性別は女性だし。枯れてるかもしれないけど。

 これがジジイなら間違いなく、鼻の下が伸びて欲情してるだろう。葉月を見て興奮しないわけがないからな。男はいくつになっても性欲旺盛だ。


 ジャグジーから出てリビングで寛いでいると、諸岡さんと目が合った。葉月も諸岡さんを見ていて、なにやら言い出したぞ。


「諸岡。監視してた?」

「しておりません」

「じゃあ、直輝のも見てない」

「見ておりません」


 見たくないの? とか言ってるけど、女性と男性じゃ違うだろ。


「あいにく、そのような煩悩はとうに捨て去っております」

「でもさ、直輝の硬くて大きくて、勢いあって反り具合が最高だよ」

「お嬢さま。そのような感想を口にするものではありません」

「ねえ、本当は直輝の握りたいでしょ」


 葉月、具体的に感想を言われると、さすがに恥ずかしいって。でも、諸岡さん少しも狼狽えんな。絶対にあり得ません、だって。


「見たら握ると思うんだ」

「お嬢様。品格は保たれるよう努めてください」

「監視しないの?」

「お嬢様に兆候が見られれば止めに入ります」


 監視と言っても別に覗きをするわけじゃない。葉月の言動を見て判断してるんだろう。あとは気配を察知したり、時折聞き耳を立てる程度で。実際に繋がれば音はするしなあ。ドアの前に立てばおよそ中で何をしているか、検討くらい付くんだろう。

 この建物は屋敷ほど金掛かってないみたいだし。


「諸岡。ジャグジー気持ちいいから入ってくれば?」

「使用人が使うものではございません」

「主がいいって言ってる。少しは楽しんで欲しいな」


 まあ、普通に考えれば執事だのメイドが使うもんじゃない。俺は一緒に入らされてるけど。


「じゃあ、入るついでに掃除してくれればいいから」

「なにを企んでいるのですか?」

「企んでない。諸岡にも少しは非日常を楽しんで欲しいから」


 結局、何度もやり取りしていて、さすがの諸岡さんも根負けしたようだ。

 せっかく旅行に来てるのに、諸岡さんにも少しは旅気分を味わって欲しい、と懇願されて折れたようだ。


「このようなことは金輪際ありませんので。今回だけです」


 だそうだ。

 これって、掃除も込みならうまい具合に追いやった、ってことじゃないのか?


「違うのか?」


 違うと言ってる。どうやら別の思惑があるようだ。


「直輝。諸岡、堅すぎるから驚かせよう」

「は?」

「一緒に入れば少しは砕けると思うんだ」

「おい」


 頑として断ったが無理だった。さっさと服を脱ぎ捨てる葉月が居て、あげく俺の服を力の限り剥ぎ取ろうとするし。


「まずいっての」

「いいんだってば。諸岡だって女だし、直輝の見れば少しは思い出すでしょ。自分が女だって」

「そう言うのは余計なお世話って言うんだ」

「知らない。入るよ」


 このど変態め。俺が抗っても腕を引いて無理やり、諸岡さんが入ってるジャグジーに連れ込もうとしてるし。

 だが、ドタバタ暴れてたらドアが開き、まさかの諸岡さんのモロ。


「なにをしているのですか?」


 あの、諸岡さん。モロモロ見えてます。年相応と言うより、意外と引き締まったボディで何よりでございます。

 じゃねえ。


「あ、ちょうど良かった。一緒に入ろ」

「ひとりで充分でございます」

「いいから、せっかく脱いでるんだし、もっと親交を深めたいな」


 戻る諸岡さんに続いて、俺の腕を強引に引く葉月に連れ込まれた。


「諸岡。意外と年食ってない」

「当然です。お手入れは欠かしておりません」


 泡がぶくぶく。浮かぶ張り艶の良い双丘の持ち主と、張り艶に劣るものの、あまり年齢を感じさせない双丘が浮いてる。

 思わず見てしまったが、諸岡さんに恥ずかしいとか無いのか?

 年食うとそう言うのが気にならなくなるのか。


「あの、諸岡さん」

「なんですか? 気になるのですか? だからお嬢様の誘惑に抗えないのですね」

「いえ、あの、恥ずかしいとか」

「今さらです。親交を深めるなど、戯言を抜かすお嬢様ですが、まあ今回は特別ですから」


 恥じらいは捨てたようだ。なんて思ってたら葉月、なにしてやがる。


「こら」

「いいじゃん」

「およそ想像は付きますが、中では出さないようご注意ください」

「外に向かっては?」


 好きにすればいいと。えっと、諸岡さん?

 は、葉月! 掴んで引っ張るなっての。しかもそのまま立ち上がろうとしてるし。立ち上がったら諸岡さんの眼前に俺のが晒される。それは勘弁して欲しいぞ。

 だから! 葉月! このど変態が!


「おいこら」


 抵抗しようにも掴まれてて、抵抗すれば痛いしそのまま引きずられる。


 結果、諸岡さんの眼前に開チンされてしまった。しかも元気。


「諸岡。感想は?」

「若さ以外に何もありませんね」

「若さ意外だと何が必要なの?」

「いろいろでございます」


 顔色ひとつ変えないし。なんか逆にこれはこれで。


「やっぱ、経験豊富だと反応が乏しいね」

「当然でございます。若かりし頃は大旦那様に言い寄られましたからね」

「お祖父ちゃんが手を出してたんだ」

「秘密でございます」


 過去の浮気話。あの大旦那様が。まあ、無くは無いのか。


「旦那様も粉を掛けてきておりました」

「パパも? 諸岡って美人だったの?」

「不肖なメイドの躾で今は強面になっておりますが、若かりし頃は殿方を魅了できる程度には」


 マジかよ。旦那様まで浮気してたのか。つまりは美人だったってのか。

 面影、あるような無いような。


「さて、私は先に上がりますが、お嬢様と向後さんは、ごゆっくりどうぞ。繋がる以外のことは大目に見ろと、奥様からの言伝もありますので」


 さっさと上がる諸岡さんだけど、尻の揺れ具合はさすがに年季入ってんなあ。


「パパとジジイの弱み握った」

「は?」

「脅しに使えそうだよね」

「奥様も大奥様も知ってるんじゃないのか?」


 メイドとの関係なんて知ってるはずが無いと。

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