第4話
話は先ほどの道士が店を出てからに
道士は市場筋を脇目もふらず歩いて行くと、今度は民家街を抜けて駐屯軍の司令部に入っていく
『蜀から来た劉珠と申します。華容真人の命を受けてこちらに手助けするようにと』
屯田部隊の司令を勤めているのは趙という中年の男でいかにも実直といった感じ
『遠路はるばるご苦労。真人どのは同郷の御先輩で昔、世話になったもの』
懐かしそうに語る
『頼みというのは他でもない。この城の周辺は痩せ地で塩分だらけで屯田には向かないので、南の山麓を借りて主要兵らは食を賄ってる。ところが最近その地を襲撃して妨害する連中が出没するようになってな』
司令の話
(屯田中とはいえ、兵士を襲うのも妙な話だな。撃退されるのがオチだろうに)
劉珠は思ったが、その腹中を読んだかのように
『連中の中には武術に長けた輩や法術使う奴もいて、我ら兵士だけでは太刀打ちできないのだよ。そこで君の師に依頼した訳だ』
『しかし法術となると私たちでも相手になるか分かりません。アレは内功に長けていても防げるかどうか』
『そっちの方は王家の方から助太刀来る事になっていてな。心配は要らぬ』
『ところで襲撃者は何者なんです?』
『それがよく判らないのだよ。末端の者を捕まえてみたが傭兵で上の者の情報は全然聞かされてない』
『…わかりました。できる限りお手伝いさせて頂きます』
『劉君の連れが先に来たので宿舎へ案内させてある。後ほど会いに行くと良い』
(…連れ?ああ、あの義兄弟2人組か…正直成り行きで一緒に旅してきたのであって、親しくしているつもりは無いんだけどな…)
王宮
カルブンクルス紅玉は王家親衛隊の軍装を支給してもらい着替えてウィスタリア王女に謁見している
『で、ボクの任務はどのような』
『装い変えると一段と見目麗しき貴公子ねえ』
うっとりとした眼で見つめてくる
『姫❗️』
『ああ、ごめんなさい。紅玉さんは東国の駐屯軍と連絡を取りつつ我が王国と東国の仲を裂こうとする連中を懲らしめてほしいの』
『敵対する団体?何者ですか?』
王女は侍女や警備兵を下がらせる
『まだ確証は掴めてないココだけの話ですが…指揮している者は白郎君という男。亀茲国の王家に繋がる者と聞いてます。だけどそいつらの雇い主は…』
『ボクは口が堅いから心配は不要ですよ』
『おそらくは私の兄が首謀者』
『兄君?』
『兄と申しても第2夫人の子ですので』
この時代はどの国でも母親の身分が絶対である。いかに歳上でも妾腹では嫡男扱いはされない
『でも何故身内が敵対行為をするのですか』
『わかりません。何か不満があるのかも』
(不満があるから反逆行為に出るに決まってるでしょうに、このお姫さまときたら…師父は剣術は天下無双とか誉めてたけど、本当かしら)
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