第21話「UFO」
父「便秘について話そう。冬子は親父に便秘の治し方は習ったか?」
娘「お腹の揉み方? 教わったよ」
父「俺は、親父のやり方をさらに進化させたんだ!」
娘「どうやって?」
父「それは、秘伝だ!!」
冬子が父、勘蔵をじーーっと見る。
父「もう、そんな目で見るな。昔は、導引の秘伝は家族にも教えなかったんだぞ」
娘「おじいさんは教えてくれたよ」
父「親父は冬子に甘いからな、俺にはけっこう厳しかったんだぞ」
娘「おじいさんは、優しかったな〜〜っ!」
上目使いで勘蔵を見る冬子。
父「俺も優しくしろって? 俺は優しいだろ?」
娘「じゃぁ、教えて、秘伝を!」
父「しかたないな……これも簡単なんだが、
娘「閃き? 突然思いつくこと?」
父「そうなんだが、よく芸能人の人が上から降りて来るって言うだろ!?」
娘「音楽とかお笑いの人が言うね」
父「そうなんだよ、突然降りて来るんだよ! それまで何回もやっていて、突然、こういうことか、と閃く! あたかも上にいる人が教えてくれたように……」
娘「それは神様が教えてくれるようなもの?」
父「そうとも言える。目には見えない何かかもしれない」
娘「お父さん、そういうのは信じるの?」
父「俺は、あんまり信じないんだ。UFOやオカルト番組は好きでよく見るけどな、実際に見たこともあるんだ」
娘「何を見たの? 宇宙人!?」
父「宇宙人は見たことないよ、幽霊みたいなものだよ」
娘「幽霊を見たの?」
父「いゃ、何かはわからない。お母さんと一緒に見たよ」
娘「お母さんもみたの!?」
父「うん、見たって言ってた」
娘「どこで、いつ!」
父「だいぶ前だ、冬子は、まだ生まれてない時、旅行で京都に行ったんだ」
娘「新婚旅行?」
父「新婚旅行はハワイにいった。京都は、俺が坂本竜馬のファンだから、お母さんと一緒に坂本竜馬のお墓参りに行ったんだ」
娘「坂本竜馬さんって四国じゃなかったの?」
父「亡くなったのが京都なんだ。他の勤王の志士達の墓もあるぞ。俺は、若い頃は坂本竜馬の写真を部屋に飾っていたんだ。身長も同じだし……京都は幕末の戦いの舞台だったんだ」
娘「そこで幽霊がでたの?」
父「京都のホテルに泊まっていて夜中に帰ってきたんだ、すると長い廊下の先に男が窓から外を見ていた。俺たちに気がついたのか部屋に入っていったんだよ」
娘「うん、それで」
父「俺たちの部屋は、その男の立っていた先だったんだ。自分たちの部屋に入って変なことに気がついた。外を見ていた男は壁にあるドアから自分の部屋に入ったとばっかり思っていたが、そこにドアなんてなかったんだ」
娘「どういうこと? 部屋に入ったんじゃなかったの?」
父「違うんだ。男が外を見ていた場所はわかっていたんだ、男は開いたままのドアに入っていったとばかり思っていたけど、そこにドアはなくて、ただの壁なんだ。まるで壁の中に入ったとしか思えないんだ」
娘「本当なの? 見間違いとか?」
父「俺も見間違いだと思って、そのまま寝たんだ、そして朝食の時に、お母さんに、その話しをすると……」
娘「すると、お母さんも見ていたの?」
父「そう、その通り! お母さんも見たって、後でその場所を見たんだけど、やっぱり壁しかなかったんだ」
娘「不思議ね、他にもそんな事があるの?」
父「他にか……北陸の海岸でUFOを見た」
娘「UFO! 本物?」
父「いゃ、何かはわからない。これは、まだ、お母さんと合う前の話しだ。20歳の時にリュックをかついでヒッチハイクで旅をしていた時の話しだ」
娘「ヒッチハイク、言ってたね……」
父「俺の旅なんか可愛いもんだ、会社には世界規模で旅をしてるのがいる」
娘「昔のヒッピーってやつかな?」
父「ヒッピーは、親父の時代じゃないかな? 俺の時はバックパッカーってのが流行っていた」
娘「聞いたことある、バックひとつで海外旅行をする人でしょう?」
父「そう、けっこう流行っていて、いっぱいいたらしい」
娘「今はコロナウイルスで外国にいくのは難しいのにね」
父「そうだね、もっと前は戦争で海外旅行なんて考えられない時代だし、世界的なブームがあるのかもな?」
娘「それで、UFOは?」
父「あ〜っ、UFO。あれは、北陸の海岸でテントを張って寝ようとしてたら、海の上に大きなオレンジ色の満月があったんだ」
娘「うん、オレンジ色のね……」
父「すると、そのオレンジ色の満月が近づいて来たんだ!」
娘「それがUFO!?」
父「そう、未確認飛行物体。何かわからない飛んでいる物だ!」
娘「それは何だったの?」
父「プラズマだという説があるけど、海外でビデオに撮られた同じ物がテレビでやっていたよ」
娘「それで、お父さんはどうしたの?」
父「怖くなってテントの中に隠れた」
娘「なんだ……じっくり見なかったの?」
父「光線で攻撃されたり、UFOの中にさらわれたりしたら大変じゃないか……」
娘「…………」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます