第210話 暴力集団(ぼうりょくしゅうだん)
草木も眠る丑三つ時。
夜陰に紛れて町中を闊歩する男たち。
「クククク……久しぶりだなぁ……」
「なあ、多少は嬲ってもいいんだろ?」
「はぁ、あんな獣混じり共のドコがいいんだよ?」
「中にはなかなかのスタイルのヤツがいるぜ」
「ケッ、変態野郎が。だがな、相手はついこの間までスラムにいた奴らだぞ」
「お前らだって大して身綺麗でもねえだろうがよ」
「ギャッハッハ、違げぇねえ」
我がもの顔で下卑た会話を交わす男たち。
誰に憚るものでもなく、誰に恐れるものでもなかった。
彼らはフィデス商会に雇われている荒事専門の男たち。
もともとは、フィデス商会の上部組織であるカイウス商会の下で、王都で表には出せない仕事を請け負っていた。
しかし、つい先般。
カイウス商会が謎の
かつては、小国の軍隊に匹敵するとまで言われた多くの仲間たちは、まだカイウス商会の影響が残る地域へと分散配置させられてしまい、1ヶ所に留まる数は少なくなっていた。
それでも、彼らはそこらへんの守備隊よりは多くの人員を確保しており、ここサファイラスの町でも地域最大の暴力集団と知られていた。
彼らの存在意義は、フィデス商会によって実効支配されているこの町における反乱分子の排除。
だが、腰抜けばかりのこの町の人々は、内面では不満を抱きつつも、表だった反乱は起こそうとしなかった。
それゆえに、自分たちが動く正当な理由を得られずに悶々とした日々を過ごす男たち。
時折、
そんな中で、フィデス商会のドワンから下された敵対勢力の殲滅は、クオンを始めとした荒くれ者たちを奮い立たせた。
「ギャギャギャギャギャ!楽しみだぁ~」
「殺ってやるぜ」
「うおおおおおおおおおおっ、滾ってきたぁぁぁぁぁぁぁ!!」
迸る殺人衝動を隠そうともせずに、男たちは町中を往く。
仮に町の者たちに自分たちの姿を見咎められても問題ない。
後でいろいろと手を回せば、握りつぶすことなど容易いがゆえに。
「クククク……、お前ら。手筈はアタマに入ってんな?」
「「「「「「オウ!」」」」」」
「関係者は皆殺しだ」
やがて、町外れの教会にたどり着いた男たちは、ドワンの言葉に頷いて教会を取り囲むように散開していく。
そして、男たちがネズミ一匹逃さない配置に就いたとき、クオンから突入命令が下される。
「殺れ!」
こうして、殺戮劇が始まった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
果たして教会勢の運命は?
ハラハラドキドキしながら待て、明日!
モチベーションにつながりますので、★あるいはレビューでの評価していただけると幸いです。
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