第180話 情報収集(じょうほうしゅうしゅう)

「それじゃあ、各自で情報収集を行うこと。いいな?カズキ?」


 門兵の人から教えてもらった宿屋に荷物を置いた僕たちは、かねてからの打ち合わせどおり街へ情報収集に出ることにした。

 これも勉強だからと、冒険者たちは各パーティーごと、ロイドとアリシアの商会組は商会組で何かしらの情報を持ち帰るというものだ。

 情報については何でもいいことにした。

 自分たちで出来ることを工夫して、結果が出せればそれもまたひとつの成長だと思うから。


 そう考えた僕だったが、やはり心配なのは否めないわけで、特にお調子者で考えなしのカズキに大丈夫かと念を押す。


「任せろよ兄貴!まずは酒場に行って……」

「お前はまだ未成年だろうが!」

「痛ッ」


 案の定、ふざけたことをぬかすカズキには鉄拳制裁だ。

 身体強化をして威力を増した拳をカズキの頭に落とす。

 毎日のように、ブランから厳しく指導を受けているだけあってやたらと打たれ強くなってるからなぁ……。


 頭を抱えて転げ回っているカズキは無視して、僕はぼんやりと考える。


 まぁ、確かに情報を得るなら酒場というのは常識ではある。

 そのために冒険者ギルドなどは、わざわざ自分のところ建物に酒場を併設するくらいなのだから。

 目の付け所は悪くない。

 悪くはないのだが、コイツカズキは自分がまだ子供だということを理解していないことが大問題なのだ。


「ソウシ……、カズキのことを頼むぞ……」

「……はぁ」


 僕が深くため息をつきながら、同じパーティーのソウシにそう頼むと、彼もまたガックリと肩を落として渋々と頷くのだった。


「オーナー……じゃなかった、アルさんたちはどちらに行くんですか?」


 旅に出て早くも数ヶ月が経過して、完全にこの旅の責任者となってしまった僕に、一行の中で唯一の成人であるロイドがそんなことを尋ねてくる。

 とりあえずは、他人の目があるのでオーナー呼びだけは止めさせたが、もう一国一城の主なわけでもあるし、捨てられた仔犬のような目で見てくるのはどうなんだろうか。


「アルは私とデート」


 すると、僕が答える前にブランが自信満々にそう断言する。

 …………いや違うからね。


 ふんすと胸を張っているブランと、それを生暖かい目で見ている周囲な面々を前に僕はいたたまれない気持ちになる。


「あんたも仕事しなさいよ」


 ブランの友人で、物怖じしない性格のアリシアが空気を読まずにそう食ってかかる。

 いいぞ、もっと言ってくれ。


 ブランに大切に想われていることは嬉しいのだが、こうも人前で堂々と宣言されるとさすがに照れる。

 そういうものは、出来れば2人きりの時にして欲しいんだけどな……。


 アリシアと口での応酬を繰り広げているブランの背中を見つめながら、そんなことを思う僕なのであった。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


連載を再開してから、バカップルのやり取りしか書いてない気もしますね。


とりあえず、次回からは多少は動きがあるかな?

次回をお楽しみに。


モチベーションにつながりますので、★あるいはレビューでの評価していただけると幸いです。



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