第171話 燎原之火(りょうげんのひ)
空を飛ぶ 竜が飛ぶ〜♫
殴り飛ばされ 星になる〜♬
火を吹くが 効果ない〜♪
スーパーシティーに 埋もれる〜♫
ト〜○〜オ〜♬
前世で昭和生まれの上司が熱唱していたカラオケの曲が、替え歌となって頭をよぎる。
今になって思うけど、スーパーシティって何だそりゃ?
うん、まぁ、それくらい一方的な戦いが眼前で繰り広げられている。
しかも、ブランの動きをタイムラグなく
もう力の差は歴然としてる。
それなのに、やたらとブランは好戦的で、執拗に竜を追いかけてはひたすら殴りつけている。
あれは、かなり怒ってるね。
そんな訳で、もう
時折、竜が乾坤一擲とばかりに至近距離から炎を吐き、その直撃を受けた氷の巨人が溶けてしまうこともある。
「……その姿を再生せよ【
だけど、ブランが戦いながら再生をしてしまうので、戦力の低下は皆無である。
ブランの魔力は僕が知る限り、父さんよりも上。
もしかすると、この世界でもトップクラスだろう。
となれば、いくらでも再生可能ということで…………。
完全に無駄なあがきだよね。
そして巨人の身体を再生すれば、お返しとばかりに、その顔を何度も何度も殴りつける。
どうやらブランは、宣言どおりに泣くまで殴りつけるつもりのようだ。
いや、もう泣いているよね?
そもそも、身体の小さなブランに追い込まれていたヤツが、同じ大きさでブランと同じ動きをする氷の巨人に勝てるはずもなく。
もはや、弱い者いじめの感覚になってきている。
それでも竜の耐久力はたいしたもので、まだ死んでいないことにはただただ驚くばかりである。
竜の咆哮が悲鳴に聞こえるようになってきた頃、
氷の巨人から距離を取っては、ジリジリと大森林の方へと近づいている。
うん、逃げるつもりだな。
そこで僕はブランに向かって叫ぶ。
彼女は高い鐘楼の上で、蝶が舞うように軽やかに、氷の巨人と同期していた。
「ブラン!アイツは逃げるつもりだよ!」
人族に比べて五感が鋭いブランだ。
どれほど大きな声を出しても、破壊音に紛れてしまいそうだったが、ブランはちゃんと僕の声を聞き取れたようだ。
声に反応して、ブランは僕の方に一瞬だけ視線を向けると、僕だけにしか分からないくらいかすかな微笑みを浮かべると大きく頷いた。
これで十分。
あとはブランが上手くやってくれるはず。
――――それじゃあ、終わらせようか。
僕は最後の詰めを行うべく、近くの広場へと向かうのだった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
いよいよ、ラストに近づいてまいりました。
予定ではあと4話かな?
最後までエタることなく頑張ります。
モチベーションに繋がりますので、★あるいはレビューでの評価をお願いします。
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