第167話 氷之巨人(こおりのきょじん)

 

 俺が【八寒地獄】の第六獄【嗢鉢羅(うばら)】で生み出したのは身長40メートルにも及ぶ巨大な人型の像。

 

 イメージは、とある星から地球にやってきた巨大変身ヒーロー。

 実働時間が3分ほどの戦士だ。


 火の竜ファイアードレイクに匹敵するほどの大きさの氷像ではあるが、このままでは単なる置物に過ぎない。 

 だが、そこにとある魔術を組み合わせることで巨人に息が吹き込まれる。


「――――【接続ネクサス】」


 戦場を一望できる建物の屋根に移動したブランは、魔術を展開する。

 それは、術者と氷像の感覚を共有し、術者の動作に合わせて氷像を動かす魔術。


 要は、前世におけるモーションキャプチャ のようなものだ。

 前世では、現実の人物や物体の動きをデジタル的に反映する技術であったが、この世界においては人物の動きを直接氷像に反映させることが可能なのだ。

 まさに、ビックリ技術だ。


 俺は魔術の無限の可能性に驚きつつ、もしものときのためにブランと実験を重ねていたのだった。


 それ故に――――――――。


 ドゴォォォォォォォォォォォォン!!


 軽やかな動きで火の竜ファイアードレイクに肉薄した氷の巨人が、その拳で竜の顔面を殴りつける。


 大地を揺るがす轟音とともに火の竜ファイアードレイクが、建物を巻き込んで吹き飛ばされた。


 怪獣退治が始まった。




 かつて、最初にブランの動きに合わせて氷像を動かして見せたとき、父さんは顔に手を当てて天を仰いだ。


「…………国を相手に戦争でもする気か?」


 そして、俺たちの魔術の理解者であるプレセア先生は、嬉々として魔術の可能性へと想いを馳せる。


「すごいです。まさかこんなことができるなんて……。これならば、遺跡から発掘されたゴーレムを人の意志で動かすことも……」


 まあ、俺の魔術の規格外さを理解している家族や先生ですらこの調子だ。


 当然、初めてその存在を目の当たりにした人々は神が降臨したかのように畏れひれ伏す。


「おおおおおおっ、神だ…………」

「大神が降臨なされた」

「すごい!勝てる!勝てるぞ!」


 遠くから戦いの趨勢を見守っていた領兵たちは、突然現れた氷の巨人とその戦いぶりを見て歓声を上げる。





 倒れた竜にまたがり、休むことなくその顔や胴体を殴りつける氷の巨人。

 氷像と感覚をひとつにしているブランは、その瞳に強い意志を宿してつぶやく。


「…………泣くまで殴る」



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


ボッコボコにしてやんよ。

∧_∧

( ・ω・)=つ≡つ

(っ ≡つ=つ

/   ) ババババ

( / ̄∪


書いてて楽しくなってきました。

巨人のイメージは初代ウル◯ラマンです。


必殺技についての持論展開は次回になりました。


このままラストまで頑張ります!


短編新作を投稿しています。


『転生したらトイレの神様だった件』


異世界転生したトイレの神様がウォシュレットトイレの設置を目指す物語です(汗)


トイレ縛り、人の目に触れない縛りでどこまで話を膨らませられるかの実験作です。

そろそろ佳境に入ります。


是非、ご一読下さいませ。


モチベーションに繋がりますので、★あるいはレビューでの評価をお願いします。



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