第162話 魔力耐性(まりょくたいせい)
時は遡る。
アルフレッドと別れたブランは、宙を駆けると一直線に
流れ落ちる溶岩のように真紅で、そびえ立つ山のように大きな体躯は街のどこにいても目に入る。
それ故に、ブランは一直線に
そうして、ブランは
一面が火の海の中、
大地を揺るがす咆哮はあらゆるものを萎縮させ、大きな口腔から放たれる火炎はあらゆるものを燃やし尽くす。
そんな暴力の権化を空中から見下ろすブランは、ここにアルフレッドがいないことを心から安堵する。
炎にトラウマがあるアルフレッドがこの場にいたら、為すすべもなく
ブランにとってアルフレッドは己の半身にして守るべき存在。
そして愛する人。
だからこそ、彼女は勝ち目の薄い戦いへと身を投じることを厭わないのだった。
逃げ遅れた人々を弄ぶようにしてその爪牙にかけている
ブランはそんな人々から竜の気を逸らせるために、あえて大技を放ち強く意識付けることを選択する。
「穿つ矢とならん【
ブランがそう唱えると、空を覆い尽くすほどの石片が現れる。
「…………行け」
ブランが手を振り下ろすと数多の石片が炎の化身へと降り注ぐ。
腹に響く衝撃音とともに大量の砂埃が舞い上がる。
と、砂埃を貫いた紅蓮の炎がブランへと向かう。
「……チッ」
思わず舌打ちをしたブランは大地に降りることで、炎の直撃を回避する。
勢いよく大地に降りたため、速度を殺しきれずに大地を転がるブラン。
「ケホッ、ケホ………」
彼女が咳をしながら視線を
「それ……なら…………貫く矢とならん【
「魔力耐性……」
いくらなんでも、あれ程の物量攻撃を受けても平気なのはあり得ないと考えたブランはひとつのことに思い至る。
それが魔力耐性。
高位の魔物は、その存在自体が魔力の塊とでも言えるようなもので、生まれつき魔術への親和性が高く、魔術による攻撃を尽く吸収してしまうという。
ブランはかつて、アルフレッドの魔術の師であるプレセアからそんな話を聞いたことがあった。
そして、そんな敵を相手にした場合の対応の仕方も。
――――魔術で肉体強化してぶん殴る。
「…………分かりやすくていい」
ブランは服についた砂埃をパンパンと払うと、不敵な笑みを浮かべるのであった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
魔術で肉体強化してぶん殴る
すごいパワーワード。
ブランならやってくれるはずです。
モチベーションに繋がりますので、★あるいはレビューでの評価をお願いします。
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