第147話 達成条件(たっせいじょうけん)
【反逆の隻眼】のリーダーである斥候のルルは、仲間たちと比べて比較的怪我の程度が軽かったため、頭から上級ポーションをかけられてすぐに意識を取り戻すことができた。
そうして眼前の様子を見て、意識が混濁しているときに聞こえてきた言葉が、間違えでなかったことを理解する。
――――時間を稼げ!5分でいい!
アルフレッドが師匠として面倒を見ている【蒼穹の金竜】の面々に向けた指示。
それは、自分たちが為す術もなく破れた
それはまさに、死ねと命令しているのと同義だ。
(アルフレッドさんは、何を……!)
そうルルが憤るのも無理はない。
(アイツらに死ねってか!)
元はと言えば、自分たちが勝手に助けに来たことが原因だ。
だから、自分がアルフレッドたちの判断に異議を唱えることは許されないのは分かっている。
それでも、自分たちが助かるために【
もちろん、こんな血を失ってヘロヘロな自分が助勢しても何をできるという保証もない。
(だけど……、だけど、何かもっとやるべきことがあるんじゃねえのかよ!)
そうして、少年はそんな忸怩たる思いを抱きながらも、まだ辛うじて均衡を保っている【蒼穹の金竜】と
★★
(………………あれっ?)
(
【
もしも、彼らに危険が迫ったら、すぐにアルフレッドに助けを求めなければ……。
そう思って、戦いの趨勢を凝視していたのだが……。
想像以上に時間が経過している。
【蒼穹の金竜】たちは、巧みな連携で、複数の
(おいおいおいおい……。今、何分たった?もうどれくらいそうしている?)
ルルは、見ようによっては【
(まさか、本当に時間稼ぎを……?)
そんな考えに至ったルルは、見知ったはずの友人たちが、別人になってしまったかのような一抹の寂しさを感じてしまう。
それほどまでに、それは異様な光景であった。
★★
アルフレッドからの指示を受けた【蒼穹の金竜】の面々は、すぐに戦う顔へと表情を変えた。
年下の
そして、確実。
つまりは、
今日、大森林に分け入ったばかりの少年たちではあるが、アルフレッドの言葉に背中を押されるとともに高揚する気持ちを抑えられずにいた。
――――――自分たちならばやれるのだ、と。
「おい、いつもどおりやるぞ!オレとソウシで前衛!カノンはオレたちに
迫りくる数頭の
そこに躊躇や逡巡はない。
「おうよ!ぐがね
「バカバカバカバカ!気を引き締めろって言ってんの!この脳筋!」
「そのとおりよ、しっかりしなさい!いい?今回の達成条件は…………」
ついつい、調子に乗りがちなカズキを女性陣が戒める。
これも普段から行っている訓練と同じ光景だ。
そして、四人は今回のアルフレッドからの指示を再確認する。
「「「「5分の時間稼ぎ!!!」」」」
そこに気負いや、弱気はない。
こうして、【蒼穹の金竜】たちの戦いが始まったのだった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ソウシたちの成長は次回。
できるだけ早く更新しますのでご期待下さい。
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